イギー・ポップとジム・ジャームッシュ監督が語る、ストゥージズのドキュメンタリー映画

「本当に才能のある監督に、俺たちのドキュメンタリーを撮って欲しいと思ってた」イギー・ポップが語る、インディー映画界の鬼才ジム・ジャームッシュとのコラボレーション。 (C) Danny Fields c/o Gilliam McCain


ー当時はあなた方のライブを撮影する人は多くなかったと思います。

ポップ:そうだな。唯一の例外は(MC5のマネージャーの)ジョン・シンクレアの奥さん、レニ・シンクレアだった。MC5のライブを撮り続けてた彼女は俺たちに興味を持って、ライブを撮影してくれたんだよ。

俺たちはいい加減だったから、ちゃんとしたレコーディングの計画はおろか、曲作りやリハーサルも行き当たりばったりだった。ロンが何時間もかけて生み出したギターリフが録れてなくて、翌日必死に思い出そうとするなんてことがしょっちゅうだった。すごく気に入ったアイディアがあって、それを元に曲を作ろうとするんだけど録音されてないもんだから、思い出すまで延々と楽器を弾き続けるみたいな感じさ。レコーディングはでかい街に行った時しかできなかったんだよ。

ーストゥージズのブートレグは無数に存在しますが、どれも酷いと言わざるを得ません。

ポップ:そのとおりだ。

ジャームッシュ:ストゥージズのファンで立派なレコーダーを持ってるやつなんていなかったからな。

ポップ:ストゥージズのファンはみんな俺たちと似たようなやつらばっかりだったからな。「これで録ろう」っつって、オンボロのカセットデッキを持ってくるようないい加減なやつらさ。

ジャームッシュ:「録音はこのボタンで合ってる?」とか言ってるようなね。

ポップ:ステレオで録れるようマイクを2本立てたり、ブランケットを被せたりするような気の利くやつは皆無だった。

ー当時あなた方がライブしていた会場の環境を考えれば、音源が残っていただけでも驚きです。

ポップ:すげぇ小さなハコでやってたけど、それでも満員にならなかったくらいだからな。3分の1入ればまぁまぁって感じだった。ブートレグの音源で会場がだだっ広いように聞こえるのは、ただ客が入ってなかったからなんだよ。面白いやつがいてさ、名前はマイケル・ティプトンだったかな。中西部出身で、ドラッグ漬けでまともな人付き合いができないっていう、現代のアメリカ人の祖先みたいなやつなんだ。基本的にはおとなしくて、人に危害を加えたりはしなかったけどね。彼はストゥージズの大ファンで、出回ってるひどいブートレグの出処はほとんど彼さ。大企業のやつらが彼からテープをふんだくったんだよ。

ジャームッシュ:ストゥージズのファンといえば、筋金入りの飲んだくれかインテリのどっちかだったらしいよ。その中間はいないっていうね。

Translation by Masaaki Yoshida

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