ポール・マッカートニー、ニール・ヤングの共演:デザート・トリップ2日目レポート

大物アーティストが集結したデザート・トリップ・フェスティバル2日目夜のパワフルなステージでオーディエンスを盛り上げたポール・マッカートニーとニール・ヤングが、同じステージに上がって共演した。(Photo by Andy Keilen for Rolling Stone)


『ブラックバード(原題:Blackbird)』では、マッカートニーが曲を書くきっかけとなった背景を語った。当時アメリカでは公民権運動が盛んで、彼もその運動を後押しするような応援ソングを書きたかったという。そして曲のギター奏法について、「多くのみんながこの曲をコピーしようとしたと思う。でもきっとその弾き方は間違っているよ」とからかうように言って、ギターを弾き始めた。

時代の文化的試金石となったヒット曲満載のセットリストには、最新の曲はほとんど組み入れられていなかった。「みんながどの曲を期待しているのかは、よくわかるよ」と、ヒット曲が始まるとスマホの画面の明かりやライターの火が次々と掲げられる様子をマッカートニーは表現した。「みんなが知らない曲だと会場がブラックホールのようになるからね。次の曲もそんなブラックホールだ」。とはいえ、『クイーニー・アイ(原題:Queenie Eye)』や2015年にカニエ・ウェストやリアーナとコラボした『フォーファイブセカンズ(原題:FourFiveSeconds)』は、ファン受けする元気のよい曲だった。

ソロ初期の作品『007 死ぬのは奴らだ(原題:Live and Let Die)』(ジェームズ・ボンドの007シリーズ向けの楽曲)では、炎やレーザーがきらめきスモークが焚かれ、空には花火が打ち上げられる中、マッカートニーは立ち上がって激しく鍵盤を叩いた。ビートルズ時代の代表曲『ヘイ・ジュード(原題:Hey Jude)』は、さらにオーディエンスの気持ちと一体化した壮大な演出がなされた。最前列近くの女性が「私はジュード」と書かれたプレートを掲げ、マッカートニーはすべてのファンをコーラスの一員に加えた。スクリーンには歌うファンひとりひとりの顔がクローズアップで映し出され、オーディエンスのあげた手で会場中に大きな波が起こった。ビートルズ時代と同様、希望に満ちて愛情深い人類愛が、さらに大きなひとつの形になった瞬間だった。

ニール・ヤングの壮大なステージセットには6つのネイティブ・アメリカンのテント小屋がステージ一杯に配置され、黄麻布色の背景に「Seeds of Life(生命の源)」「Organic(オーガニック)」「Indio, CA(カリフォルニア州インディオ)」の文字が浮かび上がる。インディアンの酋長の顔を描いた昔のテレビのテストパターンがスクリーン上に閃き、オーバーオールを着た2人の女性がステージのフロアに種を撒きながら歩く。アップライトピアノの前に座ったヤングは、1970年の『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(原題:After the Gold Rush)』の繊細なメロディーを奏でる。地球に対する警告の歌詞を変えて歌った所では会場から歓声が起こった。「21世紀(訳註:オリジナルの歌詞では"70年代")の母なる自然が崩れかけていることを忘れるな」。

この曲にはもう1ヵ所有名な歌詞がある。「頭の中でバンドの演奏が聞こえる。ハイになりたい気分だ」。ここでも大歓声が上がった。しかしヤングの思惑はもっと違う大きなところにあった。2016年、自然環境やネイティブ・アメリカンの問題はヤングにとって新たに生涯をかけた関心事となっている。彼の最新作『アース(原題:Earth)』は新旧さまざまな曲を織り交ぜたライヴ・アルバムで、野生動物の鳴き声や叫び声をまるで曲間の歓声のように使い、生態系の危機を訴えている。2016年9月、ヤングは新曲『Indian Givers』を発表。ネイティブ・アメリカンによるダコタ・アクセス・パイプライン建設反対運動を支持している。

Translation by Smokva Tokyo

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