YOSHIKIとジーン・シモンズが語る、互いへの思いとドキュメンタリー『We Are X』

X JAPANのリーダーであるYOSHIKIと、バンドのファンであることを公言するKISSのジーン・シモンズ、唯一無二の魅力を持つ日本発のバンドの魅力について語る(Photo by Steve Appleford)

「情熱と心の叫び、そして抱える痛みを露わにすることを恐れない彼の勇気は称賛に値する」ージーン・シモンズ

「KISSと出会って、僕の世界は大きく広がった」ジーン・シモンズが傍で見守る中、スケルトン仕様のグランドピアノでの弾き語りパフォーマンスを終えたばかりのX JAPANのリーダー、YOSHIKIはそう話す。スラッシュメタルとクラシックピアノという組み合わせが生んだカラフルな音楽性で世界的な成功を収めたX JAPANだが、華々しい舞台の数々だけでなく、様々な悲劇を経験してきたバンドの歴史を描いたドキュメンタリー『We Are X』が、9月の末にハリウッドでプレミア上映された。

ステファン・キジャック(『ストーンズ・イン・エグザイル』)が監督を務めた同作は、人気の絶頂時に経験したメンバーの自殺、その悲劇が招く解散、そして再結成という、険しくもドラマチックな道のりを経て、言語や文化の壁を乗り越えて世界的な成功を収めたバンドの物語を描く。10月21日に全米公開される同作に出演しているシモンズは、X JAPANが確立したマスカラやモヒカンをトレードマークとする「ヴィジュアル系」というジャンルは、もしアメリカで生まれていればこの国で大きな成功を収めていたはずだと語る。

またプレミア上映後に行われたアフターパーティーの会場には、同じく『We Are X』に出演しているマリリン・マンソンの姿もあった。「この作品に出演させてもらえたことを嬉しく思っている。俺はこの作品で描かれていることの多くに、心から共感しているんだ。繊細な心を持った彼の落ち着いた振る舞いも含めてね」マンソンはYOSHIKIについてそう語っている。「彼の友人であることをとても誇りに思っている。様々な悲劇を経験した彼が、ただ口を閉ざすのではなく、悲痛な思いを打ち明けることを選んだその勇気を、心から讃えたいと思う」

プレミア上映に先立ち、シモンズはロサンゼルスのYOSHIKIのスタジオを訪れ、2人は解放と逃避の手段としてのロック、そしてそれぞれのパーソナルなエピソードの数々について、ローリングストーン誌に語ってくれた。KISSのシンガー兼ベーシストのシモンズは、今月に東京で開催されるヴィジュアルジャパンサミット2016、そして「KISS EXPO TOKYO 2016〜地獄の博覧会〜」に、YOSHIKIと共に参加する。またシモンズは、1月12日と13日にカーネギー・ホールで行われるYOSHIKIのソロコンサートにも参加が予定されている。

「これはもう聴いたかい?」そう話すシモンズは携帯電話を取り出し、音楽を流し始めた。流麗なストリングスによるKISSの曲のカヴァーに合わせて、目を閉じたシモンズは指揮者さながらにタクトを振る仕草をしてみせる。



ーYOSHIKIと初めて会った時の印象はいかがでしたか?

シモンズ:すごく存在感があると思った。それで興味を持ってX JAPANの音楽を聴いてみたんだけど、もし歌詞が英語だったなら、彼らは世界一ビッグなバンドになっていたかもしれないと思ったよ。アメリカ人の大半は、英語以外で表現されるものに興味を示そうとしないからね。世界には優れた音楽がたくさん存在しているというのに、そんな風に耳を閉ざしてしまうのは馬鹿げてるよ。X JAPANの音楽を聴けば、彼らが日本でスタジアムバンドとしての地位を確立している理由が分かるはずさ。

Translation by Masaaki Yoshida

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