マイケル・ジャクソンの邸宅の秘密:トーマス・ドルビー、浮世離れした邸宅内部の様子を語る

トーマス・ドルビーは新たに出版する回顧録『The Speed of Sound』の中で、マイケル・ジャクソンの邸宅を訪れた時の現実離れした体験について振り返っている。Frank Edwards/Fotos International/Getty, David Corio/Redferns/Getty

『彼女はサイエンス』の作者、トーマス・ドルビーがキング・オブ・ポップと過ごしたある晩を回想した。彼が新たに出版する回顧録にも書かれたこの出来事は、『スリラー』がリリースされた頃の話である。

トーマス・ドルビーはイギリスのソングライター&プロデューサーであるが、ユニークなエレクトロ・ポップ曲『彼女はサイエンス(原題:She Blinded Me With Science)』(1982年)がヒットしたことで有名である。ドルビーの新しい回顧録によると、その曲のヒットは彼の30数年間の輝かしいキャリアの中のほんの一瞬の出来事にすぎないことがはっきりする。回顧録『The Speed of Sound: Breaking the Barriers Between Music and Technology』(2016年10月11日発行)の中でトーマス・モーガン・ロバートソン(トーマス・ドルビーの本名)は、ギャング・オブ・フォーのためにミキサーの前に座って仕事をしていたことや、ジェリー・ガルシアとコラボした際、彼に音声が強化されたインターネットというものを教えてあげたエピソードなどを披露している。本稿は彼の回想録の中から特別に一部先行公開を許可されたもので、彼が敬愛した友人であり、(自称)共作者であるマイケル・ジャクソンとの80年代初めの夢のような出会いについてドルビー自身が語っている。

私はリムジンのドライバーに行き先を書いたメモを渡した。外は真っ暗で、激しい雨が降り続いていた。ドライバーはメモに書かれた住所を見ると「マイケル・ジャクソンがこの住所に住んでいるんですか?」と肩越しに尋ねた。

「ああ、そうさ。今からそこへ行くんだ」と私は答えた。ドライバーはバックミラー私の方をちらりと見やった。私の同乗者たちは少し驚いたようだった。

目的の住所へ到着すると、頑丈そうな鉄の門の前で車を停めた。ドライバーがインターホンを鳴らした。私はドライバーに私の名前を告げるように伝えた。「トーマス・ドルビーさんがマイケル・ジャクソンとお会いになるとのことでお連れしました」。しばらくして門が開いた。我々はここで降りて徒歩で行く、とドライバーに告げた。ここにいる全員を連れて行くのは正直言って気が引けた。キャピトルのお偉方たちは怪訝な様子だった。それでも私はリムジンを降り、ヘッドライトに照らされた車寄せの水たまりを避けてよろめきながらも歩き始めた。大きなガラス張りの警備員詰め所を通り過ぎる時、中の様子がうかがえた。詰め所の中では制服姿の2人の警備員の顔が、監視カメラ映像を映し出すスクリーンに明るく照らされていた。彼らは私に向かって手振りでそのまま道を進むように促した。私はそれに手を振って応えたが、その時彼らの背後にある棚にセミオートマチックの銃がちらりと見えた。建物は想像以上に遠かった。

Translation by Smokva Tokyo

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