ブルース・スプリングスティーン、トランプを大バカ者呼ばわり:「民主主義の悲劇だ」

「共和党は大バカ者に乗っ取られた」とブルース・スプリングスティーンはドナルド・トランプを批判した。 (Photo by Miguel Pereira/Redferns)

「共和党は大バカ者に支配されている。これは民主主義の悲劇だ」とスプリングスティーンはローリングストーン誌のインタヴューで語った。

2016年の夏、ブルース・スプリングスティーンは、ザ・Eストリート・バンドとスタジアムツアーをこなし、自叙伝『ボーン・トゥ・ラン(原題:Born To Run)』の発刊準備を進める一方で、2016年の大統領選挙とはほとんど関係を持ってこなかった。ローリングストーン誌向けのインタヴューではさまざまな話題に触れ、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンに対する彼の考えや、今は距離を置いている大統領選についても語った。

ー今起きているトランプ現象についてどう思いますか?

そうだね、共和党は大バカ者に支配されてしまったってことかな。これは嘆かわしい出来事だと思う。大げさに言っているのではなく、これは民主主義の悲劇だよ。選挙を不正に操作された時点で、それはもう民主主義の枠を超えてしまっている。それは非常に危険なことだ。一度不正を許してしまったら、それはなかなか止められず、もとに戻すことは容易ではない。トランプが主流に持ち込もうとしている白人至上のナショナリズムやオルタナティブ右派の思想はすべて、本当に危険な思想だ。デイビッド・デューク(訳註:白人至上主義組織KKKの元最高幹部)との関係を即座に否定しなかったことなど、彼のこれまでの行動はまったく常識外れで、他の候補者を即座に撃沈してしまった。

ここ35年から40年の間にアメリカで起きている産業の空洞化やグローバル化に対処してこなかった代償として国民の生活は苦しくなり、人々に深刻な痛みを与えている。国民は「その問題を解決する方法を知っている」という人間を切望している。そこへ来てトランプの言っていることは、複雑な問題をとてもシンプルに解決するように聞こえるため、心惹かれる人々もいるだろう。

ー2016年の大統領選に関してあなたはこれまで何のアクションも起こしていません。あなたが動くことで与えたであろう影響力というものをもう信じられませんか?

わからない。エンターテイナー、パフォーマーやミュージシャンが持つ影響力は限られていると思う。ただこれまで自分がやってきたことに対しては自信を持っている。あの時は本当に国の危機を感じたし、今もまさにそうだ。今のところ、自分が何か行動を起こすべきかどうかはわからない。もしその時が来たら、何か考えるよ。

質問に対する答えは「ノー」だ。ロックの世界にいる人間が持つ影響力は小さいかもしれないが、俺はその力を信じている。人々はミュージシャンを政治的な色眼鏡で見ていないだろう。今の生活状況や育った環境などで人それぞれの政治に対する見方が変わってくるんだと思う。でもそれが俺にできる唯一の方法だとしたら、行動を起こしてみる価値はある。

ーヒラリーには魅力を感じませんか?

いいや、俺はヒラリーを好きだよ。彼女は本当に偉大な大統領になるだろう。

Translation by Smokva Tokyo

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