グリーン・デイが語る、復活までの長い道のり:新作『レボリューション・レディオ』制作秘話

トレ・クールも同じく、アルバム制作を急ぐべきではないと感じていた。彼は30代のミュージシャン、サラ・ローズと結婚したばかりで(彼女は髪を紫に染めて結婚式に出席したという)、ドラムキットを自宅のリビングに残したまま、2人は長めの新婚旅行を満喫している最中だった。「ヨーロッパやメキシコ、ベリーズ、あとジャマイカにも行ったよ」彼はそう話す。「新婚の夫婦らしく、ただ行きたいところに行って、気の向くままに行動してた。自分たちへのプレゼントさ」

メンダシーノの郊外にあるヒッピーのコミュニティで育ったクールは、憧れだった外の世界の暮らしを存分に謳歌する少年を思わせる。ブルーベリー色のスパイクヘアに、トレ・クールなどという名前のついた43歳は、世界は広しと言えども彼くらいのものだろう。長期的なキャリアを視野に入れている彼は「60歳になってもグリーン・デイの曲を演奏する」と公言しており、チャーリー・ワッツに息の長いドラマーになるための秘訣について尋ねたことも明かしている(しかし「高カロリーのエナジードリンクの摂取、力を込めずに叩くこと」という答えに失望したという)

しかし極端にワーカホリックなアームストロングは、長期休暇を歓迎しない。過去数年間だけでも、エヴァリー・ブラザーズ『ソングス・アワ・ダディ・トート・アス』のカヴァーアルバム、『フォーエヴァリー』をノラ・ジョーンズと共作したり、イェール・レパートリー・シアターで行われたシェイクスピア風のミュージカル、『These Paper Bullets!』にビートルズそっくりの曲を多数提供したり、ヒーローと崇めるザ・リプレイスメンツのショーにゲストとして参加するなど、そのバイタリティはとどまるところを知らない。

ブロードウェイ・ミュージカル版『アメリカン・イディオット』で、退廃的なロックスター「セイント・ジミー」を演じたことは、アームストロングにとって転機となった。アルコール依存の加速こそなかったものの(アームストロングは自分の経験に基づいて演じていたとマリンは語っている)、その経験は新しいことに挑戦したいという気持ちを駆り立てた。演技の機会を模索するようになった彼は、いくつもの脚本を却下したのち、インディーのドラメディ『Geezer』で、ミッドライフ・クライシスに陥る子持ちの元ミュージシャンを演じることに同意した。彼が書き下ろしたバラードのタイトルにちなんで、『Ordinary World』と改名された44歳のアームストロングの初主演映画は、『レボリューション・レディオ』発売の翌週に公開される。フレッド・アーミセンやセルマ・ブレアーらも出演する本作で、彼はあらゆるシーンで驚くほど自然な演技を披露している。脚本と監督を手がけたリー・カークは、もしこの世界で成功していなければ歩んだであろう人生を想像するよう、アームストロングに助言したという。彼はこう話す。「もし『ドゥーキー』が1000万枚売れなかったら、彼は主人公とまったく同じ道を歩んでいたかもしれないんだ。」

同作への出演は、彼の演技への欲求をさらに駆り立てた。「マジでさ、俺はもっと演技をやりたいんだよ。本物のミュージシャンとしてミュージカルに出演するとかね。未熟でも構わないさ。『Ordinary World』の撮影の時だって、どうしていいかまったくわからないこともあった。でも間違いなく、あれは俺の人生において最高の経験のひとつだった」

Translation by Masaaki Yoshida

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