グリーン・デイが語る、復活までの長い道のり:新作『レボリューション・レディオ』制作秘話

アルコールを断つことにさほど苦労は伴わなかったと話すアームストロングは、他のメンバーが彼の前で酒を飲んでいても気にならないという。最近では目覚めの良い朝や、4匹の犬(モジョ、ミッキー、ロッキー、クレオ、どれもバンドを思わせる名ばかりだ)を散歩に連れ出すことなど、何気ない日常に喜びを感じるという。オークランドに彼が新しくオープンしたギターショップのBroken Guitarsを覗き、スタジオに足を運び、帰宅して家族とディナーをとり、「みなと同じように『ゲーム・オブ・スローンズ』を観る」という、ごく平凡な1日が今の彼にとっては心地いいのだろう。

2年前、彼と妻のエイドリアンは、ラスベガスで20回目の結婚記念日を祝うセレモニーを行った。その日の夜、彼はランシドのティム・アームストロング、マリン、ダフ・マッケイガン、そしてトレ・クールとともに一夜限りのスーパーグループを結成し、ベガスの小さなクラブで数々のカバー曲を披露して楽しんだという。1994年に自宅の庭で小さなパーティーを開催(参加者が持ち寄ったアルコールの総量は40オンス近かったという)しただけだったというアームストロングとエイドリアンにとって、このセレモニーは2人の正式な結婚式という意味もあった。「照れ臭いけど、俺とエイドリアンは長い道のりを共に歩んできたんだ」彼はそう話す。「俺と彼女は子供たちと一緒に成長してきた。若くして子供を授かったからね」(一緒に音を鳴らすこともあった彼らは、4人で録った曲を添えたクリスマスカードを家族や友人に送ったこともあった)

アームストロングの自宅スタジオは、今では同じく音楽の道に進んだ2人の息子に占拠されているという。ジョーイはインディーバンドのSWMRSのドラマー、そしてジェイコブはザ・ストロークスを思わせるジェイコブ・デンジャーのフロントマンとして活動しており、後者はカルト的人気を誇るバーガー・レコーズからEPをリリースしている。「ジェイコブの成長ぶりには驚かされるよ」アームストロングはそう話す。「彼はわりと無口なんだけど、ある日一緒にレコーディングしようって彼とジョーイに誘われたんだ。その時にジェイコブの書いた曲を聴いて驚いたよ、こんな才能を持ってたのかって」

ロックの殿堂入りを果たした大金持ちのアーティストたちの基準からしてみれば、グリーン・デイは今でもDIY精神を重んじていると言える。彼らは自らの手で何かを作り上げることを好む。ダーントは過去にバークレーの巨大な自宅を自身で施工しており、最近立ち寄った際には現在のオーナーたちからその優れた造りを絶賛されたという。最近古いフォード・ファルコンのエンジンを組み直し、ボンネットにステンシルでジョーイ・ラモーンを描いたというアームストロングはこう話す。「俺の手はいつも油まみれだよ」

新作『レボリューション・レディオ』にも、その精神は反映されている。外部からプロデューサーを迎えることなく、メンバーと長年彼らのエンジニアを務めているクリス・デュガンの4人だけで、レコーディングはひっそりと進められた。リリース元のワーナー・ブラザーズさえ、アルバム制作が進められていることを完成直前まで知らされていなかったという。「誰にも知らせずに、自分たちのペースで進めたほうがうまくいく場合もあるんだよ」ダーントはそう話す。「『完成はまだか?』なんて催促されるのはまっぴらさ。俺たちはやりたいからやってるんだよ、仕事だからじゃなくてね」

Translation by Masaaki Yoshida

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