全米で増加中、授乳関係を持つカップル(ANR)の実態とは

チェルシーも、自分の関係における授乳は必ずしも性的な行為ではないと語っている。「私たちはオキシトシンのためにいちゃいちゃすることもあり、リラックスして(母乳の)供給を維持するのにも良い方法です。でも、私たちの関係において彼女の役割と私の役割に違いはありません。平等な関係なのです」。彼女の妻(パートナー)が彼女の乳房から母乳を飲む行為を説明する際、彼女が「授乳する(nursing)」ではなく「乳を飲ませる(suckle)」という言葉を用いるのもそれが理由だ。「「nursing」という言葉はパートナーを子供扱いしている感じがします」とチェルシーは説明する。同じく、自分の子供を母乳で育てた経験があるエリーはこう述べる。「(ギャレットは)成人した男性で、私は子育てを経験した女性であるというのが私たちの関係の真実です。でも、子供に母乳を与えるのと成人した自分のパートナーに授乳するのは、考え方がまったく違います。私は彼を子供扱いしないし、彼も私に母親役をやってほしいとは思っていません」と述べる。

チェルシーは、パートナーの一方が母乳を出す非アダルト・ナーシング・リレーションシップと、自分たちの関係がまったく別のものだとは思っていない。「もし、性的に活発で授乳をしている人がいたら、母乳は生涯、その人の生活の一部になります」と彼女は説明する。授乳中に分泌されるのと同じオキシトシンが、性的に興奮している時やオーガズムを感じている時にも分泌される。つまり、自分の子供に授乳するために母乳を分泌している人は、パートナーとのセックス中にも母乳を分泌した経験があるのかもしれない。実際、59歳のクリストファーは、子育てで授乳中の女性と付き合い始めてから、母乳を飲む楽しさに気づきANRの世界を知った。

クリストファーは、ある女性とANRの関係を始めて3年になるが、彼らは関係が深まるにつれて、授乳という行為はお互いの絆を深める親密な行為であることに気づいた。「ANRで繋がった関係や愛情行為はとても情熱的なものであることに気づきました。何だか、パートナーと他の形で親密な接触をした時には経験できなかったような、心を穏やかにする幸福感や愛されている気分が得られるような気がします」

ANRを始めた人たちの多くは、授乳の関係によってもたらされる子育ての雰囲気が主な動機であり、見返りだと考えている。授乳する側は、パートナーの面倒を見て育てているような感覚が得られる一方、母乳を飲む側は、パートナーと強く繋がり、その行為によって愛されていると感じることができる。「子育ての感覚がこの関係における大きな要素」だとエリーも認めている。また、この関係は「原始的で基本的な繋がり」であると、ギャレットは説明する。「このような行為をすると関係を次のレベルに進めることができます。彼女(彼女の母乳)には文字通り、人間に食べ物を与える役割があるのです」と彼は述べている。

Translation by Shizuka De Luca

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