チケット自動購入ソフト"チケットボット"と音楽業界終わりなき戦い

アデル、チャンス・ザ・ラッパー、リン・マニュエル・ミランダをはじめ多くのアーティストが、チケット自動購入ソフト"チケットボット"を非難している。しかしファンにとってデメリットなのか?(Photo by Jahi Chikwendiu/The Washington Post via Getty Images)

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ダフ行為を絶対に許さないという立場のアーティストたちもいる。エリック・チャーチは、ダフ行為のパターンに合致するバイヤーに対するチケット販売をブロックしている。マイリー・サイラス、メタリカ、レディオヘッドなどTicketmasterのペーパーレス・システムを導入しているアーティストは、コンサート会場へ入場する際、身分証明書の提示を義務付けている。「チケットボットはひとつの時代の流れと言えるが、決して病原体などではない。ダフ屋こそが悪の根源である。チケットの転売が完全になくなれば、我々はずいぶん助かる」と、エリック・チャーチやザ・ブラック・キーズのツアーをマネジメントするフィールディング・ローガンは述べている。

チケットの転売は現在ほとんどの州で合法であり、転売行為が街かどのダフ屋から、よりスマートなStubHubやeBayなどのオンラインビジネスへと変化してきたのに応じて、トップアーティストやプロモーターたちも、チケット転売に対するアプローチの方法を変えてきている。Live NationのCEOマイケル・ラピーノはダフ行為に対抗するため、アーティストにチケット価格の引き上げを推奨している。2016年6月にミュージカル『ハミルトン』は、最上席の価格を475ドルから850ドルへと値上げした。Live Nationの子会社Ticketmasterは、TM+やTicketNowなど自社の独自の転売サービスを利用するよう、アーティストに呼びかけている。これらのサービスは、正式販売開始前の投機的なチケット販売行為を禁止している。例えば、スポーツのシーズンチケットの所有者が、その会場でマドンナのコンサートが開催される可能性が出てきた時、正規チケットの販売開始前にシーズンチケットを転売したりする行為が、それにあたる。「悪の芽は摘み取らなければならない」と、Live Nation EntertainmentのCOOジョー・バーチトールドは言う。

今のところ公的なダフ屋行為対策としては、シューマー議員のチケットボット法案や2015年の同様の法案のように、チケットボット対策が主となっている。以前からダフ行為に反対してきたアーティストたちはこれらの動きに賛同しているものの、その効果には疑問を抱いている。「問題は、チケットボットによる多くの取引がアメリカの国外で行われているということにある。モグラたたきのようにキリがなく、普通のファンにはどうしようもない」と、トム・ウェイツのツアーディレクターであるスチュアート・ロスは述べている。


Translation by Smokva Tokyo

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