メタリカのラーズ・ウルリッヒが語る、ニューアルバムに流れるデビューアルバム『キル・エム・オール』の血

—具体的にどの時点で曲が形になりましたか? 

ほとんどの曲は2014年の秋から2015年の春にかけて書いた。


新曲『Hardwired』

—前作『デス・マグネティック』を制作した際、プロデューサーのリック・ルービンがアルバムのコンセプト作りの方向性を示しました。今回の『Hardwired』では、あなた方のゴールはどこにあったのでしょう?

基本的に俺たちは、前回の続きから始めたいんだ。『デス・マグネティック』以来、バンドは順調に来ている。ルー・リードとコラボし、レインボーやロニー・ジェイムス・ディオのトリビュートアルバムに参加した。それに映画の撮影には2年かかった。ニューアルバムのプロデューサー、グレッグ・フィデルマンとはそれ以来ずっと一緒にアルバム制作に取り組んでる。ゆっくり落ち着いて現状整理なんてしている暇はなかったよ。

だからアルバムの制作がかなり進むまでは、今やっていることや、アルバムを通じて俺たちが表現したいことを見直す時間がなかった。アルバムのコンセプトが形になって見えてきたのは、スタートしてからだいぶ経ってからだな。だからといって俺たちは杓子定規な仕事は絶対にしない。

−グレッグ・フィデルマンはプロデューサーとしてどのように貢献しましたか? 

レコーディングを始めた時、彼は5人目のメンバーとして動いてくれた。彼は反射板のようにレスポンスよく、より良い方向へと導いてくれたね。俺たちは常に、作った曲をより良く変える努力をしている。レコーディングした曲を聴き返し、「いいね。でももっと上手くミックスできるんじゃないか?」とか「Bメロのドラムはもうちょっと上げたほうがいいかな?」、「キーを変えてみる?」って感じでね。集中して、かつ体系立てて進めているのさ。グレッグはそんな俺たちの様子を見守り、俺たちのハードルを上げてくるんだ。ジェイムズか俺がリードして曲をレコーディングし、「これすげぇ。いいよ」と言うと、隣に座っているグレッグは「おいおい、まだ良くなるはずだろ」ってダメ出しするのさ。

作曲している時やレコーディング中は、エネルギーが最高潮に達するんだ。たまにそのエネルギーのせいで周りが見えなくなるけど。感覚を狂わせるドラッグみたいなもんさ。いい気持ちで高ぶって、特にレコーディングした曲について話し合うこともなくね。そうして2日後に、「俺たちいったい何をやってたんだ?」ってことになる。でもグレッグはいつでも冷静にそんな俺たちを見守ってくれるんだ。

−"ニューアルバムの曲は前作『デス・マグネティック』よりも激しさを抑えた"とおっしゃっていましたが、どういう意味でしょうか? 

ほとんどの曲はよりシンプルになっている。ひとつのリフから始まってあれこれ展開するような曲ではなく、今回はムードを重視したんだ。ニューアルバムの曲はより直線的で、騒がしさは抑えているね。つまり一曲の中での大きな展開は減らしているんだ。前のアルバムよりもスムーズな展開といえるかな。

Translation by Smokva Tokyo

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