ザ・ビートルズ『リボルバー』についてあなたが知らない15のこと

11.  『タックスマン』のカウントは楽曲の1か月後に録音されていた

『リボルバー』のセッションには奇妙な日付がたくさん見られる。ハリスンの『タックスマン』の録音は4月20日に始まり、4テイクが録音されたのだが、アルバムの最初で聞かれる「ワン、トゥー、スリー、フォー」という有名なカウントはこの4テイクのどれにも収録されていない。この『タックスマン』の頭のカウントも、実はスタジオで再修正が施されたものの1つである。ハリスンがこの乾いたウィットのあるイントロを提供したのは5月16日とされている。実際にオフマイクでこの曲のカウントを取ったのは、マッカートニーである。

12.  このアルバムで特徴的なドラムサウンドは、あの4つ首セーターのせいだった

『リボルバー』の印象的なサウンドの特徴の中には、リンゴ・スターのドラムキットから放出されたものもある。レノンとマッカートニーがさまざまな曲作りのアイデアに没頭している間、時間つぶしで忙しかったにもかかわらず、スターは常にサーヴィスを提供しようとし、ドラムに対する比類なき複合的アプローチを展開する準備ができていたのだ。

彼にはある意味、仲間もいた。「僕はバスドラム用のマイクを、これまでになかったくらい、ドラムのうんと近くに動かした」とエンジニアのエメリックは語っている。「昔のビートルズの写真で、首が4つあるウールのプルオーヴァーを着ているヤツがあるだろ。あれをドラムの中に詰め込んで、音を殺したんだ。そうしておいて、その音をFairchild 600リミッター/コンプレッサーにぶちこんだんだ」。こうして、『リボルバー』時代のおなじみのドラムサウンドが誕生したのだ。

13. ジョージ・ハリスンはタイトルを考えるのがあまりにも下手だった

作曲家として脚光を浴び始めたジョージ・ハリスンは、自分の作品をどう呼ぶかのをほとんど考えることができなかった。『リボルバー』収録の3曲のうち、『ラヴ・ユー・トゥ』(これもビートルズ特有の言葉遊び、あるいは、おそらくは文法ミス)はもともと、林檎(りんご)の品種名から『グラニー・スミス』と名付けられていたのだ。曲そのものとは何の関係もない。

セッションテープに残された記録によると、後に『アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー』となる曲のタイトルをジョージ・マーティンに尋ねられたハリスンには、何のアイデアもなかった。こういう機会をけして逃さないジョン・レノンは、『グラニー・スミス・パート2ではどうだい。キミは曲にタイトルを付けたことが本当にないな!』とすかさず突っ込みを入れている。

14. 『ドクター・ロバート』は実在した

『ドクター・ロバート』は、ビートルズが公然とドラッグを扱った最初の楽曲であり、モデルの医者はニューヨークでクリニックを経営していたロバート・フレイマンであるとされる。レノンはデヴィッド・シェフの著書『ジョンとヨーコ ラストインタビュー』で、「ツアー中に薬を運ぶのは僕の役目だった」と語っている。薬なら、グレイト・ホワイト・ファーザーとも呼ばれたフレイマンのような医者からもらえるという想定であった。

しかし、ビートルズ初のドラッグをオープンに扱ったこの曲は、ポール・マッカートニーの『メニー・イヤーズ』によると、パロディなのであった。

「ドラッグで身体を治してくれる空想上のドクター。これはジョンと僕とで面白いと思って考え出したアイデアで、冗談なんだよ。僕の知る限り、僕らは2人とも、その手の薬を入手するのに医者のところに行ったことはないと思う。ただ、そういうことは流行っていたし、今でも流行っているよ。血を入れ替えて、ヴィタミン注射をしたら、気分が良くなるんだろ」

Translation by Kuniaki Takahashi

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