ロサンゼルスに拠点を置く謎のプロデューサーが、最新作『Generationwhy』について語る。
ロサンゼルスに拠点を置くプロデューサーのZhuが2014年に発表した、不穏なベースラインと中毒性のあるループがクセになるシングル『Faded』は、メインストリームのダンスミュージック・シーンを席巻した。ディスクロージャーの『ラッチ』がHot 100で7位にランクインするなど、新世代のアーティストたちによるヴォーカル・ハウスが勢いを増しつつあった当時、『Faded』はビルボードのダンス・クラブ・チャートでトップに躍り出た。
Zhuはダンスミュージックのシーンにおいて極めて異質な存在だ。その素性を明かすことなく、たった1曲の大ヒットでコロムビアとのレコード契約を果たした。2014年発表のEP『The Nightday』に漂う不穏でダーティなムードは、ディスクロージャー、デューク・デュモント、クリーン・バンディットといった同世代のライバルたちの音楽性とは一線を画していた。
先週金曜にリリースされたZhuのデビューアルバム『Generationwhy』でも、EPで示してみせた独特の官能的なムードは顕著だ。淫らな『Faded』の続編ともとれる『In The Morning』における"君に電話をするのは孤独を感じる時だけ"という、切実に他者を求めるフックはザ・ウィークンドを思わせる。しかし『Generationwhy』におけるZhuのファルセットとアッパーなシンセ・ディスコ・サウンドには、彼のよりポジティブな一面を垣間見ることもできる。
ローリングストーン誌のインタビューに応じたZhuは、『Faded』の成功からピンク・フロイドに受けた影響まで、自身の言葉で語ってくれた。
ー素性を明かさないまま作品を発表したことには、どういった経緯があったのでしょうか?
『The Nightday EP』はすごく匿名的な作品だった。まるでシークレット・エージェントのように、素性を明かすことなく息を潜めていたいと感じる時って誰にでもあると思うんだ。安っぽい言い方かもしれないけど、正体不明の存在ってやつだよ。あの作品に漂うムードには、そういうキャラクターが必要だった。デヴィッド・ボウイやプリンス、そしてピンク・フロイドといった僕が敬愛するアーティストたちが、音楽性に応じてキャラクターを作り上げたようにね。
ー『Faded』の大ヒットの後は、素性を隠したまま活動を続けることが難しくなりましたか?
急激な環境の変化はできる限り避けようとしたんだ。長期的に見れば、早い段階での極端な成功がネガティブな影響をもたらす場合もあるからね。僕は勢いに乗った一発屋になるよりも、時間をかけてアルバムや他のプロジェクトにじっくりと取り組みたかった。その決断のせいでさまざまなオファーを断らなくてはならなかったし、素性を明かすこともできなかった。でも金儲けのために、『Faded』の成功に便乗するようなことはしたくなかったんだよ。