ジョージ・マーティンの息子が語る父親の才能、ビートルズ『Love』の音楽制作

Photo by L. Cohen/WireImage

ジャイルズ・マーティンは回顧する。「僕は生前の父にこう言った。"親父のおかげで、いったいどれくらいの人が幸せになれたか想像してみなよ"ってね」

音楽プロデューサーのジャイルズ・マーティンは、完璧であるだけでは満足できない男だ。アクロバット集団シルク・ド・ソレイユのラスベガス公演であるザ・ビートルズ『Love』の音楽監督として、ビートルズのもっともおなじみの曲のマッシュアップを作り出し、鮮烈かつサイケなサウンドトラックとして使うというのは、彼の10年前のラディカルなアイデアだった。オリジナル版の舞台音楽とサウンドトラック・アルバムを、ビートルズのプロデューサーだった父親、故ジョージ・マーティンと作り上げたのも彼だった。

こうした経緯もあって、ジャイルズ・マーティンは新世代のビートルズ・カタログの守護者となった。彼は昨年、ビートルズのデラックス版のコンピレーション・アルバム『1+』のリマスタリングを行った。さらに、マーティン・スコセッシ監督によるジョージ・ハリスンのドキュメンタリー映画『ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』でも音楽を担当、近日発売の1977年作品『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』のリミックスとリマスター、さらにロン・ハワードがビートルズのツアーを描いた新作ドキュメンタリー『The Beatles: Eight Days A Week - The Touring Years』のミキシングも担当している。ポール・マッカートニーの2013年の最新作、『NEW』をプロデュースしたのも彼だ。

リニューアル版の『Love』は7月にミラージュ・ホテル・アンド・カジノで正式にプレミア公演され、ビートルズの生存メンバー、マッカートニーとリンゴ・スターの姿も客席にあった。「このショー全体をリミックスし、再録音することが自分のやるべきことだと思った。もっと良い作品にすることができるなら、そうすべきなんだ」とマーティンはローリングストーン誌に語っている。「昔のテープ素材からもっとたくさんのものを引き出し、いっそうクリアで良い音にする方法を見つけたんだ」。彼はこのほかにも、父親の後を継ぐことについて、ビートルズのマスターテープから学んだことについて、そしてポール・マッカートニーのスタジオでの様子について、本誌に語ってくれた。

Translation by Kuniaki Takahashi

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