映画『X-MEN:アポカリプス』:オスカー・アイザックの名演が冴えわたるトリロジー完結編

(c) 2016 MARVEL (c) 2016 Twentieth Century Fox

大人気ミュータントたちが、"詰め込み感"満載のシリーズ最新作に大集結

ちょっとおさらいしよう。『X-MEN:アポカリプス』は、『X-MEN』メンバーの若かりし頃、つまり元祖シリーズの前日譚を描いた『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)の続編となる新トリロジーの完結編だ。ジェニファー・ローレンスがセクシーさに磨きがかかった変幻自在のミスティークに扮しているほか、パトリック・スチュワートが演じたプロフェッサーXの若き日をジェームズ・マカヴォイ、イアン・マッケランが演じたマグニートーの若き日をマイケル・ファスベンダーがそれぞれ演じている。ところであなたは、人間と平和的に共存したいプロフェッサーX派? それとも人類を葬り去りたいマグニートー派?

どっち派につくか考えている間に、もう一つ質問。それ、気にする? シリーズを牽引してきたブライアン・シンガー監督と脚本を手がけたサイモン・キンバーグ(『ファンタスティック・フォー』は最悪だった)の情熱は伝わってくるのだが、手にあまるほどに"詰め込みすぎてしまった感"も否めない。先ほど紹介したメンバーのほか、学園で教鞭をとるビースト(ニコラス・ホルト)をはじめ、その生徒である若きミュータントたち、ナイトクローラー(コディ・スミット=マクフィー)、ジーン・グレイ(『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのソフィー・ターナー)、クイックシルバー(エヴァン・ピータース)、そしてサイクロップス(タイ・シェリダン)も大集結する。

彼らが自分の能力をうまくコントロールできずに悩んでいる頃、ダークサイドの若者たち、ストーム(アレクサンドラ・シップ)、エンジェル(ベン・ハーディ)、クール過ぎるサイロック(オリヴィア・マン)が登場する。そして、今ではシリーズのマスコット的存在となったウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)のカメオ出演も。さらには、記憶喪失のCIAエージェント、モイラ・マクターガート(ローズ・バーン)まで登場する。もう充分だろう。シンガーはキャラクターを詰め込みすぎて、逆に個々の存在感を薄めてしまったのではないか。これではドナルド・トランプが強いるクォータ制まで支持してしまいそうになる。

Translation by Sahoko Yamazaki

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