テイラー・スウィフトは、カニエ夫妻を訴えることはできるのか?

契約違反
「会話を書き起こしたものからは、カニエが誰にもテープを公表しないという約束をしていないことが分かります。彼がビデオを公表しないと約束していたとしたら、契約違反に該当するかもしれませんが、今回の場合はそうではないようです」とスーシェール氏は言う。

肖像権
肖像権は通常、物を売る際に許可なしで人の肖像を使用する場合に問題になる。今回の動画は物を売ることとは関係ないようなので、肖像権の侵害を訴えることは困難であると思われる。「ファンにキムの番組を見てもらうことや、何らかの方法でカニエの注目度やキャリアを上げるために動画を使用したのであれば、2人を追及することができます。しかし、簡単には肖像権で訴えることはできないでしょう」とブラウン氏は意見する。「これは、誰かが"おい、ここを捏造することはできるか?"とか、ロースクールの教授が"特別単位ですよ"とか言う時に関係するものなのです。期待できる主張にはならないでしょう」

著作権
「著作権局によると、インタヴューではインタヴューアーとインタヴューされる人の両者がそれぞれ著作権を有します。非常に厳しいですが、テイラーは"ねぇ、これを公開することで、私の著作権を侵害したのよ"と主張することができます」とブラウン氏は説明する。

またスーシェール氏は、「テイラーは、録音されたものの共同作成者であると主張できます」と動画について指摘した。「カニエは、公開されたテープから生まれる利益を、共同作成者のテイラーに支払わなければいけません」

一定時間経つと動画が消えるスナップチャットであったことは、重要なのでしょうか?
「いいえ。一度出回れば、それは公開したことになります」。スーシェール氏はこう説明する。「雑誌を考えてみてください。ある雑誌が出版された2週間後に、次の号が販売されても、古い号を読むことができますよね。スナップチャットの動画のコピーが作られると、その後にも残ることになります。名誉棄損の訴訟を阻むことにはなりませんが(スナップチャットの)短い公開時間というのは、被害を少し軽減することになるかもしれません」

訴訟する価値はありますか?
「彼女が訴訟費を払うことができるのは、確実です。彼女が世間に争っていることを知って欲しい場合、訴訟を起こすことはかなりの話題を集めることができるでしょう。彼女の弁護士チームは、訴訟の利益を検討する必要がありますね」とスーシェール氏は意見する。

ブラウン氏は、「テイラー・スウィフトのような状況にいる多くの人は、こういったことを(裁判で)追及しないと思います」。ブラウン氏はこう言う。「しかし、何かやりたいと強く思う人は、追及できることならどんなことでも訴えるでしょう。名誉毀損、プライバシーの権利、著作権、その他何でも、どれかで裁判に勝つことを期待して訴えるのです。しかし、カニエとテイラー・スウィフトが訴訟する価値があると考える場合を除いて、これらが追及されることはないでしょう。二人は共謀しているのかもしれません。テイラーが、苦しめられている法的損害はないように思います」

実際に問題なのは?
一番の問題は、テイラーのプライバシーの権利だ。プライバシーの権利を訴える場合に問題となるのは、カリフォルニア州におけるプライバシー侵害に対する損害賠償額の法定限度額が5000ドル(約53万円)であることだ。実損額は3倍ということで、金銭的に損失となるが、そのことは今回の場合では全く問題ない。「今後、アルバムやコンサートのチケットを売るということでない限り、法的代理人に何十万ドルを支払う理由はないように思います」とブラウン氏は言う。

Translation by Miori Aien

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