スティング、約20年ぶりにロック・アルバムを制作:プリンスの死や気候変動からインスパイア

今回の目玉曲のひとつは、プリンスが他界した週について歌った重苦しいバラード『50,000』である。スティングは、ロックンロール仲間の死亡記事を読んだ過程を曲中で説明しながら、死の恐怖が落ち着く前に、彼と共に過ごしたスタジアム全盛期を振り返っている。「俺は今64歳だけど、特にこの年齢になると、死すべき運命が存在感を増し始めるんだ」と彼は述べる。「プリンスやデヴィッド(・ボウイ)、グレン・フライ、レミーのような俺たちの文化を象徴するアイコンが亡くなった時、俺たち皆がどれほどショックを受けるのか説明するにはこのコメントに尽きるよ。彼らはある意味、俺たちの神様だった。だから彼らが亡くなった時には、俺たちも自分自身の死すべき運命というものを問わなければいけない。ロック・スターとしての俺でさえ、自分の運命を問う必要がある。そして、ちょっと切ないけど、最後には傲慢さが何の意味もなさないことを理解することにもなるんだ」

スティングが最後に商業的な大ヒットを記録したのは彼が48歳の時で、グラミー賞2部門を受賞し、マルチ・プラチナディスク認定を受けた1999年のアルバム『ブラン・ニュー・デイ』をリリースした時のことだ。今回、彼はあまり期待しないようにしているという。「レコード業界は混乱し、不安定な状況にある」と彼は語る。「どんな可能性があるのか分からない。昔と同じようにはいかないよ。ロックンロールは今、伝統的な形式を取っていて、昔のように社会的結束力のあるものではない」。だが、だからこそ、このジャンルに回帰するのは今が適切なタイミングであると彼は考えているのだ。「すべての音楽において最も重要な要素は驚きだと思っている。俺は変化球を投げ続けるつもりだよ。これは俺の旅だけど、皆にも共有してもらいたいんだ」と彼は笑う。「俺は自分が本当にやりたいことをするよ」

Translation by Shizuka De Luca

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