合成大麻の真実:ゾンビタウンを生み出す「K2ドラッグ」の正体とは



合成大麻の起源は?
90年代、サウスカロライナの化学者ジョン・W・ハフマン氏は、米国規制物質法のスケジュールI(違法薬物)に分類されない合成物質による治療効果を研究するため、大麻に含まれる活性化学物質であるカンナビノイドの合成実験を始めた。彼の開発した化合物のひとつは、実験用マウスレベルで非黒色腫皮膚がんや脳腫瘍に効果が見られたため、2000年中頃、ハフマン氏はその研究結果と製造方法を発表した。後にハフマン氏は、「化学専攻の学生なら市販の材料を使って3ステップで製造可能なものだった」と明かしている。当然、多くの人々がハフマン氏の思惑とは別に、製造を実行に移した。ハフマン氏は、なぜそのように多くの人々がロシアンルーレットのように危険なことを行うのか不思議に思っていた。

なぜ合成大麻が人気なのか?
まずは何といってもその価格の安さにある。天然の大麻が街角で1オンスあたり350ドルで売られているのに対し、合成大麻はネット販売で50ドル、コンビニや専門店で1袋あたり10ドルで売られている。この安さが若者やホームレスに広まる要因となった。また、複数の化学物質を含む合成大麻は薬物検査で陽性とならないため、薬物検査が課される軍隊に所属する者や保護観察下にある者たちも好んで使用している。

合法か違法か?
合法大麻が登場して数年間、製造者たちは「非摂取用」と表示しポプリとして販売することで摘発を逃れていた。ところが合成大麻の使用とその副作用が無視できないレベルまで問題化すると、ニューハンプシャー州、ネブラスカ州、ニューヨーク州などが次々と合成大麻を規制し始めた。規制により流通や使用量は減少したものの、製造者は調合方法を頻繁に変更することで州の規制をすり抜けたため、合成大麻が消滅することは決してなかった。ある常習者がNBCニューヨークのインタビューに応え、「2015年秋にコンビニでの合成大麻の販売が禁止されたが、それは販売場所が街角へと移っただけで何の効果もなかった」と証言している。「警官が店を見張っているから、売人は街を歩きながら販売している。俺たちは誰が売人か見ればわかる」。

大麻の合法化が合成大麻の流行を止められるか?
啓蒙活動や予防策、薬物の研究はもちろん有効な解決方法である。しかし化合物を発明したハフマン氏のような化学者の一部は、「天然大麻は合成大麻よりも危険性はかなり低い。天然大麻の合法化が合成大麻の需要を抑制する」、と主張している。ニューヨーク市議のコリー・ジョンソン氏は2015年秋、天然大麻合法化への賛成を公式に表明している。「合成大麻よりも天然大麻の方がずっと安全である。薬物検査をパスするために、(天然大麻の代わりに)K2などの合成大麻を吸う人間がいる。天然大麻を禁止して人々を違法なK2へ走らせるより、法の下で天然大麻の使用を管理し、課税する方がよい」。


Translation by Smokva Tokyo

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