ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスとの思い出と最新アルバムを語る

─66年秋のヤードバーズからの脱退についてのどの記事も、それが衝動的な決断だったと書いていますが。



そう。体調を崩すことにうんざりしてたんだ。(ツアー中の)気候の変化で、喉がめちゃくちゃでね。ひどい喉の痛みで、飲み込むことができなかった。扁桃腺に潰瘍ができ続けてたし。俺はロサンゼルスで抜けて、バンドはジミー(・ペイジ)と共に続けたんだ。それに、俺たちは馬鹿げたパッケージライヴをやらされてた。ヒット曲がなければ、言われたことをしなきゃいけなかった。ジミーが加わったばかりだったから、俺の離脱は少し予想外だったみたい。ロサンゼルスに戻ったんだけど、当時一緒にいた女の子がしばらく面倒を見てくれた。おふくろは、「お前はいったい何をやってるの。(アメリカに)居続けるわけ?」って言ってた。(笑)。ほら、(イギリスと違ってアメリカでは)太陽の光が降り注ぐでしょ(笑)。でもビザの期限が切れてしまって。アメリカ政府から「国から出て行きなさい」っていう電報をもらったんだ。


66年撮影のヤードバーズ。左からジェフ・ベック、ジム・マッカーティ、クリス・ドレヤ、ジミー・ペイジ、キース・レルフ(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

─その後にソロ・アーティストとして、どうしたいかアイデアはあったのです?



突然、誰でもなくなったんだ。ヤードバーズでもなくなって。新聞のいくつかの記事には、「ジェフ・ベック、離脱」という文字があったと思う。でも、バンドは(ページと共に)続けることができたものだから、俺の存在がなかったことにされたみたいなものだった。俺はスチュワートを見つけなきゃいけなかったんだ。そうやって、再び始動し始めたのさ。

─『BECK01』には、ジェフ・ベック・グループとウッド、ロッド・スチュワートの素敵な写真がありますね。再結成しようとしたことは?



最大の間違い続きの喜劇だね。ウッディとは、ミック・ジャガーとか共通の友達のクリスマス・パーティでよく会ってる。俺が「8月に大きなチャンスがある」って言ったら、彼は「マジ。ロッドにも伝えとくよ」って言ってた。それから彼は、「ロッドが興奮してるぜ」って言ってきた。数カ月が過ぎて、その夜、彼はラスベガスでライヴが入ってることが分かってさ(笑)。ロッドは別の機会に実現させたがってた。でも彼は、週末を使ってパパッとアルバムを作りたいだけだったんじゃないかなって思うんだ。俺は、ブルースロックに意味のある行動を起こしたかった。でもそれは、彼にとったら時間が掛かり過ぎることだったんだ。

─シンガーたちとの問題は?これまでに、スチュワートやミック・ジャガーといった素晴らしいシンガーとタッグを組んできたと思いますが、長続きはしませんでしたよね?



俺は昔、シンガーってのは全員、面倒なヤツだって言ったことがあってね。もちろん、みんなそういう人じゃない。でも、コンセプトの中心的人物ではなかったんだ。俺はギターを弾きたかった。誰かに「お前のライヴは、ロック・コンサートじゃない。リサイタルだな」って言われたことがある。でも、ヴォーカリストたちからインスピレーションをもらうのが好きでね。誰かが、(ハロルド・)ピンターがロッドとギターの調和で楽しんでるみたいだとか言ってた。スリル満点さ。ヴォーカルがいることで、俺はライヴの一部にも、オーディエンスにもなれるんだ。

Translation by Miori Aien

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