2016年大統領選におけるバーニー・サンダースの静かなる勝利

民主党の候補者選びの終盤戦でクリントンが重要政策に関して左寄りに方針転換を図らざるを得なくなったことは、彼女がサンダース陣営の草の根的な選挙運動に苦戦していたことを示している。共和党のライバルであるドナルド・トランプが無策であるが故に、(大統領選では通常民主党は右寄り路線だが)クリントンは左寄りの政策を取ることができた。右派路線の政策というよりは偏見に満ちた理論を掲げ、個人崇拝をベースにした選挙戦を展開する移民排斥主義者(トランプ)に対する勝ち目はクリントン氏側にある。

サンダースの静かなる勝利は、ヒラリー・クリントンが「大統領になった暁に実現する」と約束した政策だけではない。民主党が掲げる現在の政綱は、まるでサンダースのウェブサイトから写し取ったような内容になっている。

民主党の政綱には、大麻の合法化と1時間あたり15ドルの最低賃金の実現が含まれている。ウォールストリートの改革案として、大銀行の解体と、(銀行業務と証券業務の分離を定めた)グラス・スティーガル法の復活を提案している。刑事司法制度の改革としては、死刑制度の廃止、民営刑務所の廃止、警官の発砲に対する司法省による監査実施が挙げられている。さらに気候変動対策として、連邦議会に対し温暖化ガスの排出に税金を課し、すべての政策決定に際して気候変動問題を重要視することを求め、さらに、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの支出を増やすよう提言している。

文書化された民主党の政綱には、サンダースが街頭演説で繰り返し強調した「経済主義、社会主義、民族主義、環境主義こそが民主党、そしてアメリカの目指す将来像である」という理念が盛り込まれている。

民主党の政綱を大きく変えたことを自ら誇るよりも、サンダースは支援者に対してその功績を称えた。「我々は大きく前進した。ここまで支援してくれた全国の何百万もの人々、その多くは初めて関わってくれた人たちだが、その皆さんのおかげで民主党の歴史に残る最も革新的な政綱を作ることができた」。

ここ数週間でバーニー・サンダース氏は自身の主張を、民主党の政綱と、ヒラリー・クリントン氏の健康保険制度改革と高等教育に関する政策方針に組み入れさせることに成功した。

Translation by Smokva Tokyo

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