アップル流、音楽ストリーミング戦争を勝ち抜く方法

アップルのオリジナル・ミュージック・コンテンツを担当しているラリー・ジャクソンは、『Apple Music』を「ポップ・カルチャーに関するあらゆる事柄の交差点」にすることが目標だと語る。


音楽業界でスピード出世を果たしたラリー・ジャクソンは、アップルの革新的なアプローチのけん引力となってきた。彼は『Apple Music』のボス、ジミー・アイオヴァインとインタースコープ・レコーズで過ごした時間がインスピレーションの元になっているという。当時ラナ・デル・レイと契約したジャクソンは、彼女はインターネットによってインターネットのために生まれてきたようなアーティストであるため、ラジオのプロモーションにお金をかけるよりは、全ての予算をビデオに投じるべきだとインタースコープを説得したのだった。「僕らはもう、こうなったら映画を作ってしまえということになった。そこで長編作品を作ったんだ。だから(ラナ・デル・レイの)『ナショナル・アンセム』は8分もあるんだ」。シングルがラジオのローテーションに入ることもないまま、『ボーン・トゥ・ダイ』はビルボードで2位に初登場し、プラチナ・ディスクになった。このことはジャクソンにとって、自分の考えが正しかったという証明となったのだ。

『Apple Music』もこれと同様、コンテンツ中心のアプローチを取っている。しかし、アップルは音楽ストリーミング事業を制するにはほど遠い状況にある。同社の音楽関連の売り上げは2013年の14億ドルから、2015年には24億ドル近くにまで増加したが、報道によれば、『Apple Music』の有料加入者が1,500万人であるのに対し、『Spotify』の有料加入者数はおよそ3,000万人、『Tidal』は約300万人である。『Tidal』はジェイ・Zが主宰するサービスで、ビヨンセ、リアーナ、カニエ・ウェストといった注目度の高い独占配信を行っている。しかし、企業価値5,860億ドルともされるアップルには、こうした競合企業にはない強みがある。それは、キャッシュだ。

4月終わりの2週間、ドレイクの『ヴューズ』がアップルで独占配信されたが、これは『ホットライン・ブリング』ビデオ制作を含む数百万ドルの契約の一部であるという。同社はまた、ウィークエンドの『キャント・フィール・マイ・フェイス』ビデオの2つのバージョン(1つは結局リリースされなかった)にも資金を提供。2月にはフューチャーの『EVOL』を独占配信、フューチャー自身がDJキャレドのapple music内のBeats 1ラジオショーに出演してお披露目したのだった。「このブランド力だけは否定のしようがない」とDJキャレドは語っている。

Translation by Kuniaki Takahashi

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