マジック!フロントマンが語る、大ヒット曲『ルード』の影響と新譜にかける思い

─完全なポップ・ミュージックを作るというアイデアが、あなたのミュージシャンとしての才能の邪魔になるようなことはありましたか?

俺 自身はむしろ、ポップ・ミュージシャンだよ。あらゆるレベルに合わせて作曲をすることができるけど、俺はいつも、より分かりやすいレベルに抑えるようにし ている。そうせざるを得ないんだ。風変わりでおかしなこともできるけど、そういう部分はまだ伝えたいと思わないな。ジャズ・ミュージシャンを本職としてい るバンドメンバーが、いろいろと問題提起をする時もある。ミュージシャンっていうのはたいてい、「おい、俺はそれを演奏するために10年間、学校に行って いないんだぞ」って考えるような、自尊心みたいなものを心の中に秘めていると思うんだ。だから、ある特定のやり方で作る必要がある。例えば、ブルーノ・ マーズみたいな音楽を聴くとするだろ。俺は、アルバム『アンオーソドックス・ジュークボックス』で彼がしたことが好きなんだ。彼は音楽性が高く、分かりや すいポップ・ミュージックを作って、よりトラディショナルな音楽とポップな音楽を愛する、完全に新しいファン層を開拓したと言っていいだろう。俺たちもそ ういう領域にいるようなもので、音楽は好きだけど常にキャッチーな曲を好むようなファンを得たいと思っている。



「人の心を魅了するためには、親しみやすくて分かりやすいものを使うべきなんだ」と語るアトウェ(左から2番目)。 (Photo by Neilson Barnard/Getty Images for DirecTV)

─つまり、あのスイート・スポットのこと、音楽の理想のことですよね。

その理想だよ。マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダー、ポール・サイモンの領域さ。最高に偉大なポップ・アーティストが成し遂げた領域で、俺たちもそんなレベルを目指しているよ。

─『ルード』の成功により、今回、そんな理想をかなえないといけないというプレッシャーはありましたか?

俺はプレッシャーを感じていたけど、レーベルなどの人たちには「タイムリミットがなければ、プレッシャーは感じない。何か作れと強制しないでほしい」とだけ伝えたんだ。そしたら、彼らは「そんなことはしない」って言ってくれた。また、『ルード』は名曲になる可能性を秘めていたから、世界中で好きなだけ時間をかけていい、準備ができたらで構わないと言ってくれたんだ。幸い、意外にも早く作ることができたけどね。

─新曲について、自分自身に関係した内容であるかのように説明されていますが。

その通りだよ。関係ない曲もいくつかあったけど、そういう曲はそれが理由でアルバムには入れていない。単に、それだと上手くいかなかった。俺が自分自身に正直でいられる時は、いつも上手くいくのさ。まさに昨日、俺たちはアルバムから1曲削除したところだよ。

─自分の作品を好きになった方が良いというのは、『ルード』という曲があなたに教えたことなのではないでしょうか。

全くその通りだよ!しばらくして、ファースト・アルバムの収録曲で好きじゃなくなってしまった曲がいくつかあったんだ。もう、ライヴで歌いたいとも思わなかった。ある日、『ルード』を歌わずにライヴを終えた後、大事なことを学んだ。誰も気にしないと思っていたけど、皆が怒り狂ってしまったんだ。ベッドメイキングをする時は、ベッドの上にどうやって寝るのか知っていた方が良いだろ。このセカンド・アルバムでそのことに気づいた。そういう細かい注意が本当に大事なんだ。俺たちとつるんでいた人たちは皆、俺たちが自分たち自身のことをあまり真剣に考えていなことを知っている。俺たちはバカなカナダ人だからね。でも、俺たちが真剣に考えているものは成果であって、人を食い物にしたりはしたくないんだ。

MAGIC!公式HP

Translation by Shizuka De Luca

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