NYインディ・ロックの新進気鋭アーティスト、Mitskiとは

シンガー・ソングライターのミツキは、彼女の意欲的な作品『ピューバティー2』のために、自己の内面を告白するような曲作りの技術を磨いてきた。(Photo by Ebru Yildiz)


つかも間のエクスタシーはミツキの示唆的なツイッターにも現れることがある。日本、コンゴ民主共和国、トルコなど、さまざまな国を行き来しながら成長した25歳のアーティストは、アップル・パイから、いかに腹の虫の居所が悪いかを感知するムード・リングまで、あらゆるものに思いを巡らしているようだ。けれども、物事に対する滑稽な捉え方と冗談("近所の子供たちは私を大人として見てくれないの。それがほんとに腹立たしい"と彼女は言う)の間で、ミツキは自分の過ちを認めたり、近年彼女をもてはやすインディ・ロック界に対してフラストレーションを爆発させることをためらわない。彼女の音楽を高く評価する向きは、アルバム『Bury Me At Makeout Creek』を発表して以来、特に顕著になったという。「選ばれし女性と言われるのにはもううんざり。"新鮮な"音楽を伝えるだけの単なる手段みたいに」5月初旬、彼女はツイッターにこう書き込んだ。「たしかに音楽は魔法のようなものだけど、私はそれを生み出す技術を学んできたの」(彼女はニューヨーク州立大学のパーチェス校で音楽を学び、13年に発表したセカンド・アルバム『Retired From Sad, New Career in Business』では学生オーケストラをフィーチャーした。)



『ピューバティー2』は前作より自信に満ちた作品に仕上がっているが、このアルバムでミツキが大人の不安に頭を悩ませているのが見て取れる。例えば『My Body’s Made of Crushed Little Stars』では、彼女は世界中を見てみたいという心の葛藤に揺れているが、一方でどうやって家賃を稼げばいいのかを案じている。ソングライターとして、思春期の頃から取り組んできたアイディアの"パッチワーク"(こう彼女は呼んでいる)を作るにあたり、彼女は自分自身を建設的に批判するよう心掛けてきた。「多分、この作品でなにが成長したって、私がアルバム構成をまとめ上げたことじゃないかしら」とミツキは話す。「それぞれの曲が、その瞬間に生まれた発想の爆発のような一時的なものとは違って、私は一歩下がって客観的に見たの、この曲はいい、こっちはアルバムに入れるべきじゃないって」

前作と同様、最新アルバムでも『Your Best American Girl』といった曲で、彼女は置き換えやアイデンティティというテーマを掘り下げている。「私は日本人であり、白人のアメリカ人でもあるの。そしてどちらの側も私を欲しがらない」彼女は語る。「別の世界で漂っているようなものよ。自身のアイデンティティは何なのか、自分で見いださなきゃならないの」幼少時代に頻繁に転居を経験してきたミツキは、"100もの故郷があるのに、どこにも属していない"ように感じるという。だが一方で、彼女はその経験をエネルギーに変えてきた。「私の曲はさまざまな人物や視点から生まれたものであると同時に、彼らはみんな私なの。私自身が生み出した、自分の中に存在する人物なのよ」と彼女は話す。「私はほんとに誰にでもなり得たんだって、そんな暮らし方をしていて気づいたわ」

Translation by Aki Urushihara

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