RUN-D.M.C.のDMCが語る、過去、現在、未来

RUN-D.M.C.はラップグループのパイオニアとして、これまでにも様々な記録を樹立してきました。グラミーのライフタイム・アチーヴメント・アウォード受賞の知らせを耳にした時の気分はいかがでしたか?

チャック・Dならきっと、「グラミーなんてクソだ」って言うんだろうな。実際に俺も最初はそう思ったよ。オークランド・レイダーズの名選手だった故ケン・ステイブラーが「フットボールの殿堂入りをしようがしまいが、自分の生き方が左右されることはない」と話していたようにね。俺にしてみれば、過去に何度もノミネートされて一度も受賞できなかったのに、今頃ライフタイム・アウォードをくれるってのかって感じだった。俺たちがラップグループとして初めてノミネートされた時、グラミーにはまだラップのカテゴリー自体が存在していなかった。当時は事実上の対象外だったけど、状況が変わった今改めて賞を贈ろうっていうわけだ。

でも過去にこのアウォードを受賞したアーティストたちの仲間入りできることは、とても名誉なことだと思ってる。昔俺はこう言ったんだ。「アメリカン・ミュージック・アワード、グラミー、MTV、VH1、バイアコム、俺はどのアワードも受け取るつもりはない。ランはどう思ってるかわからないが、少なくとも俺はアフリカ・バンバータとズールー・ネイションが『プラネット・ロック』でアワードを受け取るまでは、RUN-D.M.C.が受賞する資格はないと思っている」ラップ・グループとして初めてロックの殿堂入りを果たしたグランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴだって受賞していないんだぜ。ヒップホップにおける真のパイオニアたちの功績がしっかりと認知されていないのは、本当に残念でならないよ。

受賞のことは光栄に思ってるよ。でも、ラップ・アーティストして自分のエゴイスティックな意見を語らせてもらうと、マイケル・ジャクソンでさえラップの絶大な人気を認めた1986年に、俺たちはグラミーを受賞するべきだった。彼に会った時こう言われたよ。(甲高い声で)「君らは86年にアウォードを総なめすべきだった。僕は世界中を飛び回っていたけど、君らの音楽を耳にしない日はなかったよ。まさにムーヴメントだった」ってね(笑)敬礼までされたんだ。俺たちは慌てて「マイケル、どうか頭を上げて」って言ったんだけど、彼は本気で俺たちに敬意を表してくれていたんだよ。

ー87年のグラミー受賞式には出席しましたか?

もちろんさ。アメリカン・ミュージック・アワードにも出席したよ、ひとつも受賞できなかったけどな(笑)4部門ぐらいノミネートされてたのにな。

Translation by Masaaki Yoshida

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