トム・モレロが語るプリンス:「ギタープレイは素晴らしくて、ソウルフルで、大胆不敵だった」

トム・モレロは、プリンスの「素晴らしくて、ソウルフルで、大胆不敵な」ギタープレイを称賛する。(Photo by Richard E. Aaron/Redferns / Brent N. Clarke/Getty Images)


『パープル・レイン』を観たのは、84年の夏だった。『スパイナル・タップ』を除外すれば、史上最高のロック映画だ。これでもかっていうくらいプリンスの魅力が満載だから、彼が素晴らしいギター・プレイヤーでもあるということに嫌でも気づく。彼が『パープル・レイン』のソロを弾くと、人生が一変するよ。今すぐ聴いてごらん。泣かないようにね。映画のラストで、彼は、ジャンルをぶち壊すようなギターの嵐を起こすんだ―ギターをかき鳴らしながら、ハイヒールでピアノの上に乗ってだぜ。絶対に真似できないよ。

『パープル・レイン』のサウンドトラックは、偉大なギター・アルバムだ。『レッツ・ゴー・クレイジー』の激しいリズムリフが大好きで、大学時代、飲み会のカヴァー・バンドでよく弾いたよ。『ダーリン・ニッキー』は、驚くほどつかみどころがない、下品なギターを聴ける曲だ。意図に完全にマッチしてるね。

でも、プリンスのギターたちのことも忘れちゃいけない。男女のシンボルをかたどったギターから波のようにうねった型のものまで、すべてのギターが意思表示だった。あんないかれた形のギターから、どうしてあんなにいい音が出るんだ? もちろん、ギターじゃなくて、プレイヤーが出すんだけどね。すべてのギターが、アンプから鳴り響くプリンスのすさまじい情熱の延長であり、表れだったんだ。

プリンスが亡くなってから、彼のパフォーマンス映像をいろいろ見てるんだ。2004年のロックの殿堂授賞式で『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』をプレイしている彼の動画は本当にすごいから、ぜひ見てほしい。トム・ペティ、ジェフ・リン、スティーヴ・ウィンウッドと共演してる。今、史上最高のロック・アイコンと言われている面々だよ。でも、そこへプリンスが、すご腕のヒットマンみたいに前に出て、ソロを弾くんだ。自慢のギター・テクニックを軽々と披露する彼に、誰もが引きつけられる。彼のプレイは実に感動的で、素晴らしくメロディックで、生々しく、独創的で魂を揺さぶる。そして、信じられないかもしれないけど、彼は超人的な速さでネックを上げ下げして、パガニーニみたいな速弾きをするんだ。ダルウィーシュみたいに回りながらね。ソロは80小節くらい続いて、テクニックとほのかな激情が、高揚感あふれる、壮大なクライマックスへ向けて高まっていく。ソロの最後の方では、ステージにいるロックの偉人たちの姿がほとんど見えなくなっていた。紫の雲に隠れてね。圧巻だよ。プリンスは、唯一無二の存在だったんだ。(訳注:ダルウィーシュとは、イスラムの修行僧のこと。また、彼らが祈祷のために行う回転の舞を指す)

聞き手:コーリー・グロウ

プリンスは、2004年にロックの殿堂入りを果たし、ザ・ビートルズの『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』を披露した映像はこちら。

Translation by Naoko Nozawa

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