悲しみに包まれたミネアポリス:街を挙げてプリンス哀悼した日

午後8時になると、ファースト・アベニューの外では、日中の集いが夜通しのパーティへと変わった。DJ シャノン・ブロートーチが『KISS』を流した時だっただろうか。7番通りに立っていた全ての人が、我を忘れて身体を動かし、悲鳴のような裏声で力いっぱい歌いだした。場の雰囲気が悲しみからパーティへと変わった瞬間だった。

即興の野外パーティに伴って、ナイトクラブ周辺の7番通りのほとんどの区間が閉鎖された。ファースト・アベニューではこの夜、スリップノットとストーン・サワーのヴォーカリストであるコリィ・テイラーが売り切れ満員のコンサートを行っていた 。会場入りを待つファンたちは、この夜さまざまなレベルの街のダンサーたちが、通りで盛り上がる様子を見つめていた。コリィが『パープル・レイン』と『リトル・レッド・コルヴェット』のカヴァーを披露すると、会場はこの夜一番の盛り上がりをみせた。


Photograph by David Bowman

コリィのライヴが終わると、今度は地元のアーティストが集まったバンドがステージに立った。ソウルシンガーのチャスティティ・ブラウンが『ビートに抱かれて』を力強く歌い上げ、シンガーでラッパーのリゾが心に響く『ビューティフル・ワン』を披露し、そしてその場にいた全ての人が『パープル・レイン』を一緒に歌った。(通りでは一晩中、酔っ払いたちが同曲を歌う姿を見ることができた。)群衆の数はどんどん増え、さらに広い区間が封鎖されることとなった。そしてついには、7番通り全てとファースト・アベニューの2区間、つまり建物の周辺の至る所に人々が溢れ返っていた。そこには紫色の服を着た人々が歌い、ダンスをする姿があった。中にはより良い視界を確保しようと、危険な高さまで街灯柱によじ登っている人もいた。

Translation by Miori Aien

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