悲しみに包まれたミネアポリス:街を挙げてプリンス哀悼した日

ペイズリー・パークの周りを取り囲む金網フェンスは、記念碑と化していた。ファンがメッセージを書くことができるバナーが取り付けられ、また白色の紐で『Purple Rain(パープル・レイン)』と『Goodbye (さようなら)』の文字が見事に作られていた。哀悼者は、メモや紫色の画用紙で作ったハートをフェンスに貼りつけ、その横に花束やテディベアを供えていた。さらには「ミネソタ産」と英語で書かれたプラカードまで、フェンスの上に取り付けられていた。


Photograph by David Bowman

訪問者がフェンスの前で記念撮影をしようとすると、警備員が「ご家族の方々に配慮してください」とすぐさま注意していた。写真撮影は、メディア関係者が待機するテントがある、フェンスから通りを隔てたバリケードの後ろからのみ許可されていた。ペイズリー・パークでコンサートを行ったプリンスが、写真撮影だけでなく携帯電話やお酒を禁止し、警備員が精力的に取り締まったということがあったように、ルールあってこそプリンスのイベントなのだ。

ファースト・アベニューの人々に比べると、ここを訪れていたファンは若く、そして堂々と涙を見せていた。紫色の口紅をつけた10代の少女が泣いている姿や、子供連れの家族の姿がよく目についた。子供たちはというと、封鎖された道に立っている理由が分からないようで、まるでパレードにでも来たかのようにバリケードの先を覗き込んでいた。その横で大人たちは重苦しい雰囲気を放っていた。そして印象だったのが、その静けさだ。この空間でも、ファースト・アベニューと同様に音楽が流れていなかった。

Translation by Miori Aien

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