プリンス、知られざる慈善家としての一面とは

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それからジョーンズは、プリンスの使命感に話を移した。「彼の大義はヒューマニズムだった」と彼は述べている。「プリンスは人間のことをとても気にかけていた。プリンスのコンサートに来る人に対して、"ここには自分の居場所がなかった。自分は黒人でもないし、白人でもない。クールでもないし、ストレートでもない。自分は何物でもない"などと感じさせることはけしてなかった。彼の動機は、人々に力を与えたい、人々を支えたいというものだったのだ。その気持ちは、ステージを降りた時でも、スタジオにいない時でも変わらない。人の心を動かそうと、才能があふれ出てくるようだった」

ジョーンズは一例として、トレイヴォン・マーティン殺害事件がどのようにして『#YesWeCode』につながったのかを説明してくれた。17歳のトレイヴォン・マーティンが"殺人者なのか、被害者なのか"、あるいはマーティンを射殺した"自警団"のジョージ・ジマーマンは"人種差別主義者なのか、英雄なのか"について、多くの論争が巻き起こったが、プリンスが目を付けたのは、マーティンが着用していたフーディであった。「プリンスは"ちょっと待てよ、黒人の子がパーカーを着ていたら殺し屋と呼ばれて、白人の子がパーカーを着ていたらマーク・ザッカーバーグだといわれるのはなぜだろうな"と言い出した」とジョーンズは振り返る。「そこでもちろん私は、"人種差別のせいでしょう"と答えた。するとプリンスは、"うん、そうかもね。あるいは、黒人版のマーク・ザッカーバーグが少ないからじゃないかな。そこに着目してみてはどうだろう"と言うのだ」。まさに天才である。

「彼は、誰もが一緒に踊れるような何かを作ろうとしていた」とジョーンズは続ける。「政治の力で貧しい子どもが太陽光パネルを設置している? それなら誰でも踊れる。インナーシティで、パーカー着ている子どもが、アプリをダウンロードするだけではなく、アップロードする方法を勉強している?それもみんなで踊れる、といった具合に」

プリンスはまた、『#YesWeCode』の認知度アップと、テクノロジー・コミュニティでの人種の壁をなくす活動でも一役を勝った。ジョーンズは語る。「全米でハッカソンを実施した。最初のハッカソンは、『Essence』誌の黒人向けイベントで開催できた。すべてはプリンスのおかげだった」

ジョーンズはまた、最近のCNNのインタヴューで、昨年フレディ・グレイの暴動直後にボルティモアで開催されたコンサートに代表されるプリンスのサプライズ・コンサートの多くには、政治家と会うという裏目的があったと明かしている。そうしたイヴェントに参加している間に、対立陣営を同席させようとしていたのだ。


Translation by Kuniaki Takahashi

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