プリンス、80年代以降の隠れた名曲15選


『So Far, So Pleased』

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アルバム『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』(1999)より


1999年、ノー・ダウトがプリンスに『Waiting Room』へのヴォーカル参加を依頼した時、プリンスは依頼された仕事以上の貢献をした。トラック全体を修正し、キーボードを追加してコーラスを入れ、共作のクレジットが付いたほどだった。そのお返しにグウェン・ステファニーは、ポップ・ロックシングル、『So Far, So Pleased』に歌声を提供した。きらびやかで噛みごたえのある、ボウルに入った砂糖漬けのアップル・ジャックス・シリアルのようなこのトラックは、アルバム『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』のハイライトとなった。この曲にはチャック・Dからシェリル・クロウ、メイシオ・パーカーまで、多種多様なミュージシャンがバンドメンバーとしてゲスト参加している。





『Movie Star』

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アルバム『クリスタル・ボール』(1998)より


プリンスの曲の中で最も変わっている。彼は、ボディーオイルやお香、環境音楽にまで頼って何とか女性をモノにしようとする、漫画のような女たらしを演じている。元々はザ・タイムのモリス・デイへの提供を想定して書いたが、曲の躍動感はプリンスを、ロールスロイスを運転する映画スター役に変身させた。このキャラクターは、上記の作戦の他に女の子たちに酒をおごってくれとせがんだり、パコラバンヌの香水をたっぷり振りかけたりして、結局クラブで落とすはずだった女の子全員に振られてしまう。『クリスタル・ボール』のライナーノーツにプリンスはこう書いている。「このブートレッグはディアンジェロのお気に入りだ。彼がこの曲が大好きだと言うので(本意ではないが)アルバムに入れた」





『Dionne』



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アルバム『クリスタル・ボール』/『The Truth』(1998)


3枚組の希少な『クリスタル・ボール』に付けられたボーナス・アルバム、『The Truth』には、アコースティックギターの弾き語りのみが収録されている。この見事なバラードの出だしは未加工で飾り気がなく、ナイロン弦のギターでの一発どりのような印象だが、最初のコーラス部分に入ると複数のヴォーカルとベル、ハープシコードが加わり、シンセサイザーでギター音の増減が調整され、あらゆる種類の奇抜な音響効果(ガラスの割れる音、鶏の鳴き声、ヘンリー・マンシーの音楽に関する引用)がその周りを渦巻くようになる。ファンは、いまだに『Dionne』の正体を知らない。プリンスは、彼女のことをこう歌っている。“君は僕と手をつなぐべきだった/僕を君の男として受け入れるべきだった”


Translation by Cho Satoko

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