プリンスのペイズリー・パーク訪問記:紫の殿下との魅惑の一日


私たちはミーティング・ルームを後にして、廊下を一緒に歩いた。「私はクレア・フィッシャーのストリング・アレンジの大ファンなんですよ。アレンジは2人で決めるのですか?それとも彼に曲を渡して任せているのですか?」と聞いた。プリンスは笑いながら、眉を上げた。「僕は彼の仕事を信頼している。僕らは曲に何が必要かを話し合うけどね」と彼は答える。「これからリハなんだけど、見て行くかい?」

こうして、プリンスとペイズリー・パークのステージに立つことになった。彼は私の左側にいて、エレクトリック・ピアノと、真っ赤なノード・リードのシンセサイザー、そしてエレクトロニック・ドラム・パッドの後ろに立っていた。右側にはベースのラリー・グラハムがいて、その後ろに他のバンドメンバーがいた。プリンスがカウントを始めると、スピーカーから"ファンク"が雷鳴のように轟いた。私はどうしたらよいかわからなかった。ドラマーがきっかけとなってパブリック・エネミーの『ファイト・ザ・パワー』をインストでプレイしていたような気がする。次に、彼らはジェームス・ブラウンやステイプル・シンガーズのソウル・クラシックを何曲も演奏し始め、プリンスの指はエレクトリック・ピアノの上で敏捷に動いていた。

「この辺の曲、知ってるよね?」と彼は自分の肩越しに私に尋ねた。

「もちろん!」と、それぞれの曲の名前を言いながら答える。

「じゃあ、これはなんだ?」と彼は挑んでくる。彼の右手は、ファンカデリックの『ニー・ディープ』の独特のイントロをノードで弾き始め、合間にドラム・パッドを叩く。私は曲名を言い、彼は認める意味で頷く。

私はあまり知られていないが大好きな曲、『アンド・ゴッド・クリエイテッド・ザ・ウーマン』をリクエストしてみた。

「まだやったことがないんだ」と彼は答えた。

彼は広報担当の彼女に、リクエストがあるかどうかを尋ねた。「私はショーで演奏している曲しか知らないわ」と彼女は答えた。バンドは数曲プレイした。

「絶対音感を持ってるんですか?」と私は彼に尋ねた。

「いいや、なかなかの相対音感ならあるけどね」。

「この数年を考えた時、ミュージシャンとしてあなたは進化していると思いますか?それとも停滞しているように感じますか?どうやって進化をキープしているのでしょう?ジミー・ジャムに尋ねた時は、彼はザ・タイムにいた時より、スタジオにいる方が悪いミュージシャンになるよと答えてましたよ」。

「どう思う?」とプリンスは言う。「ジミー・ジャムがザ・タイムにいた頃は、君ぐらい身体が締まっていたよ!スタジオにこもって一日中食べていたら、絶対に良くはならないね」。

夜のとばりが落ち、私には飛行機の時間が迫っていた。ここを離れたくなかった。私はプリンスと一緒で、私の頭の中でさまざまな質問が浮かび上がり、それを聞くことができたのだ。混じり気なしのファンタジーだった。

記事が掲載されると、プリンスは彼のウェブサイトで記事について「愉しめるよ」と綴っていた。そして、「ジェフ、ペイズリー・パークに戻りたいときはいつでも来てくれ。曲当てゲームをしよう。知らせてくれ」と書いてくれた。

その誘いに乗っていればよかった。

Translation by Kise Imai

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