ボブ・ディランの1980年代人気ソング・ベスト10

Photo by Keith Baugh/Redferns



第6位:『トゥイーターとモンキー・マン(Tweeter and the Monkey Man)』


トラヴェリング・ウィルベリーズの『トゥイーターとモンキー・マン』(トム・ペティとボブ・ディランの共作)は、一見ブルース・スプリングスティーンへの皮肉のようにも取れる。いずれにしても、スプリングスティーンの『涙のサンダーロード』、『盗んだ車』、『マンション・オン・ザ・ヒル』、『ステイト・トルーパー』、『ライオンズ・デン』といった歌が、曲の中で引き合いに出されていることは確かだ。しかしペティは、2013年のローリングストーン誌のインタビューで、この曲はスプリングスティーンへの愛のあるトリビュートだと断言している。

「(スプリングスティーンを)馬鹿にするような意図なんて全くなかった。まず、ディランがこう言った。"トゥイーターという名の男の曲を書きたい。そして他にも登場人物が必要だ"俺は、"モンキー・マンにしよう"と答えた。ディランは、"いいね、『トゥイーターとモンキー・マン』だ。俺がストーリーを書こう。ニュージャージーって設定にしたい"と言い、"ニュージャージーか、いいね"と答えた。そしてディランは、"ブルース・スプリングスティーンの曲のタイトルを引用しよう"と言った。ディランが賛辞の意味を込めていたのは明らかだった」



第5位:『スウィートハート(Sweetheart Like You)』


『スウィートハート』は、ボブ・ディランにしか書けない類いのラブソングだ。1983年のこの曲は、"君のような女は家にいるべきだ。そこが君の居場所さ。君を真に愛してくれる誰かの面倒を見て"と歌っている。歌詞のこの部分は、一部の人々を、ディランが意図しなかった意味で苛立たせた。ディランは、1984年のインタビューでこう語っている。「その部分は、正確には俺が表現したかったような感じにはならなかった。ここまで過剰に"敏感"な表現にならないように書き換えることは簡単にできた。でも、この部分を変えたとしても曲のコンセプトは変わらない。つまり、きれいな女性が裏通りを歩いているのを見てこう思う。"こんなところで一体何をしているの?君のような素敵な人が、どうしてこんなところに居る必要があるんだい?"」

問題の部分を差し引いてもこの曲は十分に美しい。ディランはミュージックビデオを制作し、プロモーションを行った。ディランの初期のミュージックビデオの一つだ。客のいなくなったバーで、悲しげな清掃員がディランとバックバンドの演奏を見守っている。この曲は、まだライヴで演奏されたことがない。



第4位:『モスト・オブ・ザ・タイム(Most of the Time)』


2000年の映画『ハイ・フィデリティ』を見た後、同じ疑問を抱えて劇場を後にした人は少なくない。「最後の方に流れた、あの素晴らしいボブ・ディランの曲は一体何だ?」答えは、『モスト・オブ・ザ・タイム』だ。アルバム『オー・マーシー』に収録された、後悔を歌った心に残る曲だ。『エヴリシング・イズ・ブロークン』とよく似た、たくさんの間違いを犯してきた男の歌だが、こちらの男は失恋の痛みのただ中にいる。"彼女が俺の頭の中にいることさえほとんどない。彼女を見かけてもあの娘だとは気が付かないだろう。彼女はそれほどはるか遠くにいる"アルバム『テル・テイル・サインズ』には、見事な別バージョンが2曲収録されている他、ラノワのプロデュース曲もいくつか収められている。

Translation by Satoko Cho

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