ジェフ・バックリィ、秘蔵音源アルバム発売の全貌に迫る

「私はこの作品の別ヴァージョンも作れたらと思っていたの」彼女はそう話す。「今回リリースされたものとは別に、スタジオでのちょっとしたやり取りを収録したデラックス・ヴァージョンをね。中には、『僕が死んだ後に、この音源が『ザ・ベースメント・テープス』とかそういうタイトルでリリースされるんだろうな』なんて話してる部分もあるのよ(笑)デリバリーのピザが届いた瞬間とか、そういうリアルな空気をファンに感じてもらいたいと思ったの。残念ながらCDやiTunesのヴァージョンには収録されなかったけれど」

シェルター・アイランドでのセッション音源の中には、まだ発表されていないものが数多くあるとアダボは話す。「今回発表されたものとは別に90分のDATが4つあって、どれも十分に聞き応えのある内容なんだ。ちゃんと数えたわけじゃないけど、しっかり形になっているものだけでも25〜40曲はあるんじゃないかな」

「個人的には、『ユー・アンド・アイ』は未完の作品だと感じているんだ」彼はそう続ける。「それでも、彼のファンにとってこの作品が宝物であることは変わりない。本格的なキャリアの開始前に残されたこの音源は、彼のピュアな面が他のどの作品よりもリアルに映し出されていると思う。自信に満ちたその歌声が、なによりもそれを物語っているんじゃないかな」

「この作品で、ファンはありのままのジェフ・バックリィに触れることができると思う。僕がしたことと言えば、マイクを立ててレベルを調整したくらいだよ。結果として残されたのは、たった1人で真摯に音楽と向き合う彼の姿だ。あれから何十年経った現在でも、その輝きは少しも色あせていない」



Translation by Masaaki Yoshida

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE