その歌声は言わずもがなだが、『ユー・アンド・アイ』を聴けばバックリィが一流のギタリストでもあったことがわかる。「彼はギターに並々ならない情熱を抱いていた」アダボはそう語る「彼は自分の歌声よりもギタープレイが重要だと捉えているようだった。実際に、彼はギタリストとしても一流だった。彼はギタ−1本で、スライの曲を見事に表現してみせている。ギターを録った後に『そういえば歌も入れないと』みたいな感じだったんだよ」
『ユー・アンド・アイ』にはオリジナル曲の他に、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、レッド・ツェッペリン、ザ・スミス等のカヴァーが収録されている Photo by David Tonge/Getty Images
「最高の歌声に最高のギター、他に何も必要ないと思えるくらい優れたパフォーマンスだった」ギバートはそう語る。「今でも曲を聴くたびに、現場で感じた興奮を思い出すの。彼はいつもシンガーになるつもりはないって言ってた。1990年にニューヨークに行った時も、『母さん、僕は世界一のギタリストになるよ』なんて話してたの。私はお手上げで、『もう好きにすればいいわ!』っていう感じだったの(笑)」