映画『キャロル』制作の裏にある真実の愛の物語とは

(c)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED


テレーズは廊下に一台の電話のある殺風景なアパートで、息苦しく退屈な日々を送っている。キャロルは波乱に満ちた離婚争議の真っ只中にあり、木立の中に建つ豪邸に暮らしている。2人の女性は共に生活を捨て、クリスマスシーズンに雪に覆われたアメリカを車で横断する。2人の感情は特に異例なものにも、探る価値があるものにも見えない。多くの部分は男性がそうするのと同じように極めて自然に訪れる。


日記の中でハイスミスは、自身の著書の中でこれは最も個人的な作品だと苦しんでいる。まったく乱れのない、しかし感情の移り変わる音に満ちた、夢のような作品である。使われた言葉は暴力で染まっている。しかしハイスミスの作品の中で、唯一の実際の殺人はまったく出て来ない長編作品である。「メタファーが殺人者なのです」とハイスミスの伝記『The Talented Miss Highsmith』の著者ジョアン・シェンカーは語る。「微笑みの角は常にほんの少しの血に染まっている。そしてタバコを吸えば唇の皮膚がほんのすこし剥がれ落ちる。この作品ではいつも誰かが血を流しているのです」。

この作品が『キャロル』という名で映画化された。テレーズを演じるのはルーニー・マーラ。キャロル役はケイト・ブランシェットだ。監督はトッド・ヘインズ。脚本家で劇作家のフィリス・ナジーが脚本を手がけた。フィリスは制作が進んだり中断したりを繰り返す15年の間、この作品に取り組んできた。ナジーはハイスミスを知っていた。彼女たちは友達だったが、ナジーはハイスミスが1995年になくなるまで『The Price of Salt』を読んだことがなかった。



Translation by Yoko Nagasaka

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事