ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンが90歳で死去


マーティンとポール・マッカートニー 1966年 David Graves/Rex

1966年終盤、ビートルズは『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』を通常のバンドスタイルだけでなく、ブラスセクションを含むフルオーケストラを交えた編成でもレコーディングしている。どちらを採用するか決めかねたレノンは、マーティンに両者を組み合わせるように指示した。キーもテンポも異なる両者を組み合わせることは不可能だと主張するマーティンに、レノンはこう返したという。「あんたならできるはずだ」マーティンは回転速度を調整できるテープマシンを駆使し、両者のテンポとピッチを組み合わせるという無理難題に挑んだ。結果として誕生した同曲は、ビートルズの曲の中でも個人的なお気に入りのひとつだという。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のような、無数のレイヤーを持ったサウンドを4トラックレコーダーで実現してみせたことは、マーティンが成し遂げた偉業の中でも特筆すべきもののひとつだ。「あのアルバムによって、ビートルズはただのロックバンドから、パフォーマンスアートの歴史における重要な存在になった」マーティンは著書でそう綴っている。「あのアルバムはレコーディングアートが時間の概念を覆し、普遍的な価値を持ちうることを証明してみせた最初の作品だ。言ってみれば、音楽における彫刻作品だ」

Translation by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE