デッドファンのアーティストが選ぶ、グレイトフル・デッドの名曲

Photo: (Michael Ochs Archives/Getty)


リー・ラナルド(ソニック・ユース):『ジャック・ストロウ』(1972)
Lee Ranaldo
Photo: Jordi Vidal/Redferns



アルバム『ヨーロッパ'72』が出たのは僕がグレイトフル・デッドのライヴに行き始めた頃だ。すごく印象に残っている。ロングアイランドのオイスターベイに住む高校生だった僕は、『アメリカン・ビューティ』と『ワーキングマンズ・デッド』は聴いていた。とても美しいアルバムだ。彼らの音楽にすっかり圧倒されていた。そして『ヨーロッパ'72』を聴いた。無秩序な広がりのある3枚組のアルバムで、長い即興演奏や不朽の名曲が収録されている。『トラッキン』1曲にレコードの片面が使われ、約15分の最高に美しいインタープレイが収録されている。『ヒーズ・ゴーン』、『ランブル・オン・ローズ』、『ジャック・ストロウ』といった素晴らしい新曲も聞くことができた。

その頃のグレイトフル・デッドは創造性に満ちていた。彼らは絶対的な存在のような気がしていた。『ジャック・ストロウ』は西部が舞台の物語で、ヒッピーカウボーイの曲だ。反映されている価値観は、バンドが象徴するイメージとぴったり合っている。この曲ではヴォーカルの3人全員が歌っていて、主に歌うのはボブだが、随所でジェリー、フィル、ボブ全員がハーモニーを奏でている。僕としてはフィルにもっと歌ってほしいが、皆のハーモニーがとても良い。

73年にナッソー・コロシアムでグレイトフル・デッドを見て、同じ年にかなり大規模のワトキンズ・グレン・サマー・ジャムにも行った。ぶっ飛んでいた。観客との相互関係には目を見張った。1981年にソニック・ユースを結成した時には僕の音楽的志向からグレイトフル・デッドは外れていたけど、それでも僕らのバンドにもヴォーカルが3人いて、それぞれ別の視点で歌っていたことをいつも誇らしく思っていた。曲の終わりを定めずに切れ目なく演奏し、呼応しながら楽器を弾き、互いの演奏を聴いてから次の曲に移行するというスタイルは僕にはとても刺激的だった。彼らは歌の形を別次元に持って行った。ソニック・ユースも『ヨーロッパ'72』のように新曲だけでライヴ・アルバムができるようになればな、といつも思っていたよ。

Translation by Satoko Cho

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