映画史に残るボウイのサウンド&ヴィジョン12選

『ラビリンス/魔王の迷宮』(『マジック・ダンス』)
ジム・ヘンソンの世界にこれほど見事に溶け込む者が、デヴィッド・ボウイをおいて他にいるだろうか?ゴブリンを支配する王ジャレスが、パペットのモンスターの王国に足を踏み入れ、即座に王位に就く姿を見るのは、この上ない喜びだ。ボウイが彼の手下と共に歌を披露するシーンは、この作品を象徴する場面だ。人々は歓喜し、ジャレスにジギ―・スターダストのような人を惹きつけるパワーを感じるのである。この奇妙で脅迫的、そして愛嬌に満ちた『マジック・ダンス』のパフォーマンスに、ゴブリン王が妃にしようと夢中になっているのは、まだ思春期のジェニファー・コネリーだということを見落としてしまう。

『ロスト・ハイウェイ』(『アイム・ディレンジュド』)
非凡なアーティストにとって、ボウイは優秀で頼りになるコラボレーターだった。彼は自分以外の人々のインスピレーションを形にするコツを知っていたようだ。そのため、かつてボウイを俳優として『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』にキャスティングしたデヴィッド・リンチが、マインド・ファック・ノワールとも言うべき『ロスト・ハイウェイ』のオンランプとして彼の曲を使用したことは、驚くに当たらない。95年にリリースした危なげな雰囲気の『アイム・ディレンジュド』はオープニング・クレジットで流れ、現実の世界と深い暗闇に佇むリンチの想像の世界をつなぐトンネルのようだ。自分では恐ろしくてたどり着けない場所へと私達を誘うのに、ボウイほど相応しい人物はいない。

Translation by Aki Urushihara

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