映画史に残るボウイのサウンド&ヴィジョン12選

『ビギナーズ』(『ザッツ・モティヴェーション』)
86年に公開された『ビギナーズ』は、ジュリアン・テンプルが英国の若者文化に寄せた抒情詩である。ボウイが演じた人々にイマジネーションを売る広告代理店の重役、ベンディス・パートナーズは、ドン・ドレイパーのようでもあり、またウィリー・ウォンカのようでもある。「現実を突きつけられ君は堕ちてゆく」彼は『ザッツ・モティヴェーション』のパフォーマンスの絶頂で主人公をたしなめ、巨大なタイプライターのキーから回転する地球儀まで、あらゆる物の上で踊り始める。伝説となった男にとって完璧なステージだ。「なぜ俺はセンセーショナルなのか」ボウイは歌う。「なぜここまで人を惹きつけるのか」我々ももその答えを模索している。

『ROCK YOU!』(『ゴールデン・イヤーズ』)
『ROCK YOU!』は14世紀を舞台にしながら、その600年後に書かれたロックをふんだんに取り入れた作品である。ヒース・レジャー演じる勝ち気な主人公は、上槍試合の戦術を習得できずでいる—ボウイが音楽がいかに大切か示してみせるまでは。平民の従者であるレジャーは身分を偽り貴族のふりをしているが、堅苦しい舞踏会での踊りを全く知らないため、策略が見破られそうになる。幸いなことに、宮廷のDJは『ステイション・トゥ・ステイション』のレコードを持っていたらしい。城内の古い壁から『ゴールデン・イヤーズ』が流れ出し、ファンキーな踊りを楽しむうちに夜は更けていく。我々のヒーローと彼が恋する良家の娘が完璧なグルーヴを捉えるまでに、さほど時間はかからない。1975年であろうが1375年であろうが、ボウイはいつの時代も先頭に立とうとする新世代のサウンドだ。

Translation by Aki Urushihara

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