ファレルが心酔するレトロ・ソウルアーティスト『ライオン・ベイブ』とは

ファレル・ウィリアムスとマーク・ロンソンをゲストに迎えたデビューアルバム『ビギン』をリリースしたライオン・ベイブ - Misha Taylor

ジリアン・ハーヴィとルーカス・グッドマンが語る、ソウル・アンセムの力、マーク・ロンソンとのコラボレーション、そして傑作デビューアルバム

『ハッピー』も『ゲット・ラッキー』もまだこの世に出ていなかった2013年、ファレル・ウィリアムスは知人からあるメールを受け取った。そこには20代前半の4人の若者がジャングルで撮影した、アマチュアなミュージックビデオへのリンクが記されていた。

サンオイルが似合う褐色の肌とライオンのようなヘアスタイルが目を引く女性シンガーは、しなやかに身体を動かせながら、レトロなビートに合わせてこう囁く。「こっちに来て、少し話そうよ」その曲『トリート・ミー・ライク・ファイア』を形容するとすれば、糖蜜色のビート・ポエトリーといったところだろう。

そのサウンドはファレルを魅了した。ザ・ネプチューンズのシンガー兼プロデューサーであり、オルタナティブR&Bの先駆者として絶大な支持を得る彼は、ニューヨークを拠点に活動するライオン・ベイブこと、ジリアン・ハーヴィとルーカス・グッドマンのふたりを、マイアミにある彼のレコーディング・スタジオに招待した。当時彼らはまだEPさえリリースしていなかった。

「ラップトップの前で作業する彼のスピードには驚かされたよ。異なるプロジェクトを3つくらい同時に進めている様子だった」グッドマンはローリングストーン誌のインタビューでそう話している。「幾つかループが入ったフラッシュドライブを受け取って、こう言われたんだ。『このビートに合わせて何かやってみてくれ』」それまで自宅でしか作業したことがなかったグッドマンにとって、ふたりのヒーローであるファレルとのやりとりに興奮を隠せなったという。

Translation by Masaaki Yoshida

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