(Photo: Gijsbert Hanekroot/Getty)


『ピースフル・イージー・フィーリング』 (1972)


イーグルス初期の曲の中でも、最もフライらしい曲の1つ。1972年のセルフタイトル・デビュー・アルバムからのシングルでもあるこの曲はとにかくゆったり、まったりしている。おなじみの協力者ジャック・テンプチンと共作によるこの曲は、フライの最も抑えたヴォーカルとも相まって、イーグルスの持つカリフォルニア的なクールなヴァイブの集大成となっている。ここには、ロサンゼルスのトルバドール・クラブに毎晩通い、他のフォーク歌手たちが打ち明ける心の底に影響を受けていた、フォーク・シンガーとしてのフライがいる。歌詞は彼の作ではないが、しっかり自分のものとしている。

『テキーラ・サンライズ』 (1973)


アルバム『ならず者』の中核的作品である『テキーラ・サンライズ』は、惨めで野暮な失恋の歌であり、外に出てやり直そうという勇気の歌でもある。ヘンリーとフライの共作だが、メイン・ヴォーカルはフライが務めている。フライの歌い方は直截的でありながら、独特の震えるヴィブラートで和らげられてもいて、哀愁あふれるバックの演奏に一抹の希望と励ましを与えている。2003年のイーグルスのコンピレーション・アルバム『ベスト・コレクション』のライナーノーツで、ドン・ヘンリーはフライが「この曲に対してはアンビヴァレントだった。当時人気のあったカクテルのせいで、あからさますぎないか、陳腐すぎないかと思っていたようだ」と語っている。最終的にはフライもこの曲のことを気に入ったようで、「この曲のことは好きだ。浮いたコードが1つもないからね」と語っている。

『ドゥーリン・ドルトン』 (1973)


イーグルスが巨大なセールスをあげるようになった主な原因の1つに、フライとドン・ヘンリーの間のケミストリーがあった。1880年代の無法者ドルトン・ギャングに献げられたこの曲では、サビ前まで2人が交代でソロを歌い、また1本のマイクを共有して本当に素晴らしいハーモニーを聴かせてくれるという、彼らの強い信頼感を示す代表作である。しかし最後に1人でスポットライトを浴びるのはフライで、こんな歌詞でドラマにとどめを刺すのだ。「男は腰も使えるし、頭も使える。でも中には、ムショで頭がおかしくなるヤツもいる。昔から、何も変わりはしないのだから」

Translation by Kuniaki Takahashi

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