ラモーンズのデビューアルバム:知られざる10のこと

7 ジョニー・ラモーンは、アルバムのレコーディングを急いで終わらせた

サイアー・レコードがラモーンズのデビューアルバムにあてた制作費は、たったの6,400ドル。1976年当時においても、アルバム一枚に50万ドルを費やすことが普通だったため、この金額は滑稽なほどに少ない。そしてレコーディングはたった7日で終了。バンドは前渡金でスタジオの使用料金を払っていたため、1分でも早く終わらせたかったという、パンク美学はもちろんだが、そこにはこのスピードに対する、より現実的な理由があったのだ。

「必要なだけお金がもらえたけど、俺たちが急いだのは、その全額を返さなきゃいけないことを知っていたからだよ。だからサウンドエンジニアが、テイクについてどう思うか聞いてくるたびに、俺は「ああ、今までの中で一番の出来だったよ。あんなにうまく弾けることはもうないと思う」って言って、次に取りかかったんだ。」とジョニーは自叙伝に綴っている。

8 お蔵入りとなったジャケット写真は、ビートルズにインスパイアされたもの

『Ramones(ラモーンズの激情)』ジャケット写真のアイデアは、ロバート・フリーマンの『ミート・ザ・ビートルズ』にインスパイアされたものだという。
これはさらなるジョン、ポール、ジョージ、リンゴへ敬意の表れといえよう。サイアー・レコードはアルバム制作費の3分の1にもあたる、2,000ドルを写真撮影に費やしたが、結果に満足できず、このアイデアは白紙となった。そこでバンドは必死に別のアイデアを探した。

そしてすぐに、当時音楽雑誌『Punk』の専属のフォトグラファーであったロバート・ベイリーと共に、GBGBの近くのコミュニティ・ガーデンのレンガの壁の前で、ジャケット撮影を行った。「最終的にジャケット写真で使ったのは、バンドが一つになったパーフェクトな瞬間を捉えた一枚だったわ。前後の写真は、そんなに良くなかったの。でもあの写真は、全員が完璧に見えたわ。ラモーンズらしいって感じ。そして私がフィルムを取り換えてたら、ディー・ディーが犬の糞を踏んだのよ。」と彼女は回想している。

パンク・ジャーナリストの先駆け的存在とも言えるレグズ・マクニールもまた、この出来事について語っている。「べた焼きに、ディー・ディーが棒でスニーカーの犬の糞を取ろうとしている様子が写ってるんだ。そして、犬の糞がついた棒でみんなを追いかけまわすんだ。それで写真撮影は終わり。」
写真は最初にPunk誌に掲載されたが、サイア・レコードが125ドルで買い取った。掘り出し物の最も有名なジャケット写真といえよう。

Translation by Miori Aien

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