ボウイのベーシストが語る20年:「彼が私の人生を変えた」

2012年9月18日ドロシーとデヴィッド・ボウイ 『私がずっと思っているのは、彼の歌声が男性ロックスターの中で一番だってこと』 (Photo: by Brian Rasic/Getty)

およそ20年もの間、デヴィッド・ボウイのベーシストを務めたゲイル・アン・ドロシーが、惜しくもこの世を去ってしまったデヴィッド・ボウイとのコラボレーションと友情の思い出を回想する。

1989年のある日のイングランド。『The Corporate World』のプロモーション中のゲイル・アン・ドロシーとひょんなことから話すきっかけとなったデヴィッド・ボウイは、テレビのチャンネルを次から次へと変えていた。その日から数年経ったある時、ボウイはドロシーにその時に抱いた密かな気持ちを告白していた。「うわぁ、この女はすごく面白い。」そして「ぴったりなプロジェクトがある時には、彼女を起用したい」と思ったというのだ。

それから6年後、ナイン・インチ・ネイルズと一緒にまわるツアーのためにバンドメンバーを集めていたボウイは、ドロシーにベースを担当する気はないかと電話をかけた。ドロシーはこの時のことについて「電話の相手が本当にデヴィッド・ボウイだってことに驚いたわ。」と話す。そして「最初は、誰かが私にいたずらしてると思ったの。でもそうじゃないって分かった時、彼に言ったのよ。「アルバム作りの最中なの。まずプロデューサーと話してから返事をさせて。」って。アルバム作りを始めたばっかりで、時間もお金も全部それに費やしてたの。でも彼って「でもな、デヴィッド・ボウイだぜ。アルバム作りは、中止するべきだ。」って言うんだから。」

当初6か月の契約でスタートしたドロシーだったが、実際には2004年のラストコンサートまで、ボウイのセッション・ミュージシャンとしてベースを務めることとなった。彼女は97年の『アースリング』と2013年の『ザ・ネクスト・デイ』の両アルバムでもベースで参加している。ボウイの訃報から1週間ほど経って、ドロシーはローリングストーン誌にロックのアイコンと組んだ約20年間について電話インタビューに応えてくれた。

ーずっとボウイのファンでしたか?

何でも知っている熱狂的ファンだったとは言わないけど、私のお気に入りだった時期はあったわ。『ヤング・アメリカンズ』や『ステイション・トュ・ステイション』とか。特に『ヤング・アメリカンズ』は大好きだったわ。なんてったって、私フィリー(フィラデルフィア市の愛称)出身で、そこでレコードされてて、ソウルっぽいじゃない。『ハンキー・ドリー』や『ジギー・スターダスト』も好きだったけど、アルバムのヒット曲くらいしか知らないわ。彼がその当時何をしてたかに関係なく、私がずっと思っているのは、彼の歌声が男性ロックスターの中で一番だってこと。どんな感情でも表現するし、音域も広いのよ。

Translation by Miori Aien

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