ポール・サイモン、隠れた名曲ベスト10

第6位 『オヴィアス・チャイルド』
アルバム『グレイスランド』の発売から次のアルバムまで4年のブランクがあったが、誰もサイモンを責めることはできない。『グレイスランド』のように大胆で革新的なアルバムを上回るには一体どうすればいいだろうか?サイモンは前作と同じ手法でアルバムを作ることもできたが、そうしなかった。次作の『リズム・オブ・ザ・セインツ』では、ラテンアメリカの音楽に挑戦した。オロドゥンというグループのドラムと共演し、パーカッションの効いた『オヴィアス・チャイルド』でアルバムは幕を開ける。この曲は、ビルボードホット100では92位に終わったが、1991年の『ライヴ・イン・セントラル・パーク』のハイライト曲のひとつとなった。2014年にはジェニー・スレイト主演映画『Obvious Child』でフィーチャーされ、再び注目を集めた。

第5位 『平和の流れる川』
『ポール・サイモン・ソングブック』は1965年にヨーロッパでリリースされているので、1972年のセルフ・タイトル・アルバム『ポール・サイモン』はソロとしてのデビュー・アルバムではない。しかし、サイモン&ガーファンクルの解散後にリリースされた初めてのソロアルバムだ。そしてそれ故にたくさんの注目を集めることになった。サイモンは独りでも魅力的な音楽が作れるだろうかと大勢が疑ったが、『僕とフリオと校庭で』や『母と子の絆』、『ダンカンの歌』といった曲は、そのような疑いをすぐに晴らした。『平和の流れる川』は、名曲の陰に隠れている逸品だ。シングルとしてリリースされていればヒットしたであろう落ち着いた曲だ。2011年にはライブで63回披露されたが、それまでは一度も演奏されていない。「自分の昔のアルバムを聴くことはほとんどないが、たくさんのインディーズ・バンドが『平和の流れる川』などの古い曲をカヴァーしてくれているということを聞いて、聴き返してみた。「なんだ、いい曲じゃないか」って思ったんだ」サイモンは2013年にこう語っている。

第4位 『クール・クール・リヴァー』
アルバム『リズム・オブ・ザ・セインツ』には『グレイスランド』程の熱量はないかもしれないが、聴けば聴くほど魅力の増す、素晴らしい曲が多数収録されている。とりわけ異彩を放っているのが『クール・クール・リヴァー』だ。この曲は人間の精神の可能性と、どれほど簡単に人は挫折してしまうかを歌っている。「僕は未来を信じる/我々は苦しみから解放されるだろう/僕が生きている間は無理かもしれない/でも君たちの時代にはきっと」1999年夏のボブ・ディランとのツアーでサイモンが歌った、数少ないヒット曲以外のナンバーだ。2008年と2009年のツアーでもサイモンはこの曲を歌っている。

Translation by Satoko Cho

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