エルトン・ジョンの隠れた名曲ベスト10

第6位 『ハーモニー』


「もうひとつの世界」が存在していたら、エルトン・ジョンは『ハーモニー』を『黄昏のレンガ路』の4番目の、そして最後のシングルにしていただろう。そして曲はヒットし、皆に愛され、クラシック・ロックのラジオで繰り返しかけられ、エルトンはライブの度にこの曲を欠かさず演奏し、観客は1人残らず一字一句漏らさずエルトンと一緒に歌っていただろう。しかし、現実の世界では1970年代のエルトンはものすごい勢いで曲作りをし、『黄昏のレンガ路』の3番目のシングル『ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高)』がチャートから消える頃には次のアルバムの編集を終えていた。結果的に『黄昏のレンガ路』の最後の収録曲である多幸感漂う『ハーモニー』は、コアなファンからのみ愛される運命をたどった。


第5位 『過ぎし日のアモリーナ』


1970年のエルトンのサードアルバム、『エルトン・ジョン3』にはチャートで大ヒットした曲はない。『僕の歌は君の歌』に続くアルバムとしては残念な出来だったという声もあるが、最近ではエルトンの最も優れたアルバムとの評価が高い。『エルトン・ジョン3』は、昔のアメリカ西部を舞台にしたゆるいコンセプトアルバムで、アメリカに行ったことのないエルトンとバーニーが制作した。その頃には2人は既に『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』(1968年のザ・バンドのデビューアルバム)を聴いていたし、西部劇はよく見ていた。『過ぎし日のアモリーナ』は、「アモリーナ」という少々変わった名前のガールフレンドをひどく恋しがっているカウボーイ、または農場主の物語だ。映画『狼たちの午後』の冒頭の曲として最もよく知られている。1971年以降、エルトンはこの曲を一度も演奏していない。


第4位 『マッド・マン』


元々エルトン・ジョンは、『エルトン・ジョン3』の収録曲としてデヴィッド・ボウイのギタリスト、ミック・ロンソンと『マッド・マン』を収録した。しかし、この曲はその後約1年間放置され、次のアルバムのタイトル曲となった。ポール・バックマスターは、6分間のこの曲に息をのむような素晴らしいオーケストラ・アレンジを加えた。精神病院に入れられた男が外の世界とつながることに憧れる姿が描かれている。イエスのキーボード奏者リック・ウェイクマンがオルガンを演奏し、エルトンの作品の中でも最もプログレッシブ・ロック色が強い曲となっている。『エルトン・スーパー・ライヴ〜栄光のモニュメント〜』には素晴らしいライヴ・パフォーマンスが収録されている。2004年から2012年までは定期的に演奏されていたが、2013年以降はライブでは披露されていない。

Translation by Satoko Cho

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE