宇宙への脳内トリップから、遥か彼方の銀河系でのアドベンチャーまで。

70年代。アメリカン・ニューシネマが台頭した。そして、ニクソン政権下の偏執的なスリラー、スラッシャー映画、オールスターキャストのパニック映画、悪趣味なコメディも多数作られた。ブロックバスター(超大作映画)という概念が登場したのもこの時代だ。

だが、そのどれよりも豊作だったのが、68年の『2001年宇宙の旅』がもたらした幻惑感の余韻のなかにあったSF映画というジャンルである。「水瓶座の時代」が徐々に「ウォーターゲート事件とディスコの時代」へと突き進んでいくなかでも、薬でぼんやりとした、あるいはハイになった人々の頭に衝撃を与えるSF映画は確かに存在した。そして70年代の10年が終わる頃には、ポスト・アポカリプス(終末もの)のアクションアドベンチャーから、フューチャー・ショック(未来の衝撃)のケーススタディ、テクノロジー恐怖症の悪夢、低予算のエクスプロイテーション映画、はたまたビッグバジェットのスペースオペラまで、SFの名のもとで百花繚乱の様相を呈し、同時にSFこそが映画に革新をもたらすジャンルへと成長した。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『インターステラー』を観た人ならわかるはずだ。70年代SF映画の影響は、今日まで脈々と続いていることを。

そういうわけで、今日のSF映画の基礎を作った10年間に敬意を表して、70年代のSF映画ベスト50をカウントダウンした。50本のうちのいくつかは、SFに限らず史上最高の映画ランキングに名を連ねる傑作である。他方で、食べ頃のチーズのように、あの時代だったから良かったという作品があるのも事実だ。いずれにしても、ここに挙げた50本それぞれが、その後のSF映画の行き先を──それがB級映画館であれ、最先端のアートシアターであれ──、あらためて定義づけたことは間違いない。70年代、それはSF映画が果敢に未踏の地への探索を始めた時代だったのだ。

50位 『SFレーザーブラスト』(78)
49位 『溶解人間』(77)
48位 『スタークラッシュ』(78)
47位 『監獄都市ブラッド』(77)
46位 『続・猿の惑星』(70)
45位 『デススポーツ』(78)
44位 『宇宙からのメッセージ』(78)
43位 『25世紀の宇宙戦士キャプテン・ロジャース』(79)
42位 『新・猿の惑星』(71)
41位 『世界が燃えつきる日』(77)
40位 『未来世界』(76)
39位 『ラルフ・バクシのウィザーズ』(77)
38位 『ハードウェア・ウォーズ』(78)
37位 『宇宙空母ギャラクティカ』(78)
36位 『地球最後の男 オメガマン』(71)
35位 『クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立』(70)
34位 『電子頭脳人間』(74)
33位 『ブラックホール』(79)
32位 『猿の惑星・征服』(72)
31位 『タイム・アフター・タイム』(79)
30位 『ダーク・スター』(74)
29位 『デス・レース2000年』(75)
28位 『スリーパー』(73)
27位 『2300年未来への旅』(76)
26位 『スター・トレック』(79)
25位 『デモン・シード』(77)
24位 『ソイレント・グリーン』(73)
23位 『ザ・ブルード/怒りのメタファー』(79)
22位 『スローターハウス5』(72)
21位 『ファンタスティック・プラネット』(73)

Translation by Mari Kiyomiya

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