20位『スーパーマン』(78)
昨今の「ダークなスーパーヒーロー」人気を考えると、リチャード・ドナー監督がDCコミックスの原作に忠実に映画化した『スーパーマン』は、いい意味で細かいことにこだわらない、健全な作品に思える。だが21世紀のスーパーヒーロー映画同様、本作もチープなB級映画ではない。総製作費5500万ドルの大作で、キャストにオスカー俳優のマーロン・ブランドとジーン・ハックマン、脚本には『ゴッドファーザー』のマリオ・プーゾを配し、空飛ぶ男の描写に信憑性を与えた。スーパーマンを演じたクリストファー・リーヴの往年の映画スター的なカリスマ性も手伝って、本作には現代的な不穏さよりも昔風の華やかさとスペクタクルが感じられる。一方で、72年に男女平等憲法修正条項が議会で承認された時代でもあり、マーゴット・キダー扮するロイス・レインが今風のスピード感を加えている。また、冷酷でダンディな悪の天才レックス・ルーサーを演じたハックマンの存在感もさることながら、ニューヨークのグランド・セントラル駅を、プールを完備したルーサーの隠れ家に変えた独創的なセットデザインも素晴らしい。(EH)


19位 『ディーモン/悪魔の受精卵』(76)
神はエイリアンではないかと考えたのは、グラインドハウス映画作家ラリー・コーエンが初めてではない。だが、エイリアン=神が人間に取り付き、無差別殺人を引き起こすという発想はまったく新しいものだった。街の人々が銃の乱射により倒れるさまを映し出した『ディーモン/悪魔の受精卵』は、70年代半ばのマンハッタンのくすんでざらついた雰囲気をよく捉えている。トニー・ロー・ビアンコ扮する刑事は、殺人事件を追う過程で自身の信仰を試され、衝撃の事実に直面し、人間の本質と対峙することになる。荒唐無稽な哲学とベタな犯罪スリラーが共存する本作は、2本の映画を同時に見ているような、どこか不穏で落ち着かない、だが忘れられない映画体験をもたらしてくれるだろう。(SA)

Translation by Mari Kiyomiya

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