ライアン・アダムスが明かすテイラー・スウィフトのアルバムのフルカバーができるまで

Photo: (Jim Dyson/WireImage/Getty; Sascha Steinbach/Getty)


数日間かけ、アダムスはテイラーの曲を飾り気のない声とギター、ハーモニカの曲にリメイクした。この実験は長くは続かなかった。4曲を入れたところでレコーダーが故障し、テープが絡まってめちゃくちゃになってしまったのである。しかし『1989』を丸ごと作り直すというアイディアは彼の中にそのまま残っていた。2015年8月に彼はもう一度これを試み、今回は仲間のミュージシャンたちとともにちゃんとした設備のあるスタジオで録音したのである。そしてこの2回目の試みでアダムスは、完全な彼の『1989』をテイラーのアルバムと同じ曲順で最初から最後まで完成させた。「これは複製でも再構築でもない」とアダムスは主張する。「これはパラレルな世界だ。僕はそう捉えている。僕たちはもう一つの宇宙を作っているんだ。マーベル・コミックのようにね」

時間を潰すためのお遊びとして始まったアダムスの『1989』はこの年最も期待されたアルバムの1つとなった。この期待の中にはテイラー自身の声も入っていた(彼女は「これは本当???? 気絶しそうよ」とツイートしていた)。アダムスの『1989』は今日(2015年9月21日)、デジタル版でリリースされ、アナログ版とCDも発売された。「これには参るわよ!」。レナ・ダナムも当時こうツイートした。「今このアルバムを聞いたけれど、これは傑作ね。テイラー、あなたが想像したこともなかったようなものよ」。

アダムスはある点を明確にしておきたいという。彼はこのプロジェクトを無意味なものだとは思っていない。彼はテイラーの『White Horse』を初めて聞いたときからテイラーのファンであり、彼女の能力への賞賛の気持ちを隠さない。その能力は数年前に、未発表ではあるがテイラーと2つの作品を共同で作ったときにさらに明確になった。

ロサンゼルスのサンセットサウンドの中にあるアダムスのスタジオ、パックスアムにテイラーがやってきて、アダムスと2本のギターとともに制作に取り組んだのだ。「彼女は序奏部とコーラスの最初の部分を持ってきていたけれど、それがどういう形に行き着くのかについてはあやふやだったんだ」とアダムスは当時を振り返る。「彼女の作ったリフと序奏部はとてもクールだった。僕たちはしっかり腰を据えて1日中この曲に取り組んだ」。その夜この無題の曲は完成し、2人はアダムス曰く「しびれるような」デモを作った。これは現時点でもリリースされていない(アダムスは今後もリリースされるかどうかはわからないと言う)。

この状況でもアダムスはテイラーのパワーを実感した。「彼女の隣に座る。彼女はちょっとした歌詞をつけた序奏部とコーラスを演奏する。するとその瞬間に明らかになるんだ。この人は、スタジアムで5万人の人の前で演奏している人だってことが」と彼は語る。「ショックではないよ。彼女の声のトーンや余計なものの削ぎ落とされた詩を聞くと、ただわかるんだ。君はこう思う。「この人は音楽の中にいる類の人だ」って。彼女のパーソナリティの持っている紛れもないパワーが音楽を通して伝わってくる。そういう人がいるんだよ。キース・リチャーズもそうだ」

Translation by Yoko Nagasaka

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