ヴァン・ヘイレンの超クールなレア曲20選

『ブルース・ブレイカー
ブライアン・メイ&フレンズ名義のリリースなので、厳密には「ヴァン・ヘイレンの曲」ではない。ふたりのギタリストの共通のアイドルであるエリック・クラプトンに捧げる12分におよぶ大作で、クイーンのメイとエディ・ヴァン・ヘイレンはスタンダードなブルース進行にのせてノリノリでリックを交換している。メイは、ヴァン・ヘイレンに引けを取らないイノヴェイティブなスタイルとサウンドを持つハードロックギタリストだ。この対決で自分が負けていないことを証明するために、この歴史的なジャムを83年のミニアルバム『無敵艦隊スター・フリート』に収録したのだろう。彼の選択は正しかった。本作は、エディがほかのギタリストとセッションした極めてレアな作品だ。

『プット・アウト・ザ・ライト』
サンセット・ストリップにあるクラブで無名のバンドのパフォーマンスを見て痛く感動したキッスのジーン・シモンズは76年、ヴァン・ヘイレンに一連のデモのプロデュースを申し出た。『ゼロ』として広く知られるブートレグアルバムのレコーディングで、エディ・ヴァン・ヘイレンのギターは伝説と呼ばれる域には達していなかったものの、バンドの才能は十分に明白だった。デイヴィッド・リー・ロスは既に最大のポテンシャルに達していたし、ベースのマイケル・アンソニーがヴォーカルを引き立て、本作は拳を振り上げるのに十分なリフタスティックなロックに仕上がっている。ちなみに、シモンズはヴァン・ヘイレンの契約を取り付けることができなかった(また、バンド名を“ダディ・ロングレッグス”に変えさせるのにも失敗した)。『ゼロ』のレコーディング完了後、シモンズはバンドを契約から解放した。拝金主義のベーシストが悪戦苦闘したレアなビジネスだった。

『バルチテリウム』
95年のアルバム『バランス』のレコーディングで2代目ヴォーカリストのサミー・ヘイガーとエディ・ヴァン・ヘイレンの関係は修復不可能になり、結局ヘイガーが参加した最後のアルバムとなった。本作にはもともとヴォーカルが入る予定だったが、ヘイガーが難色を示したとの憶測もある。それはさておき、この壮大なヘヴィメタル・インストゥルメンタルのタイトルは、陸上最大の哺乳類として知られる、3000万年前に地球に生息したサイに似た獣にちなんだもの。ツェッペリン風の大きなドラムのビート、多重ギターと速弾きのソロの壁は、あたかも『よお、サミー。俺はエディ・ヴァン・ヘイレンだ。ケチな歌手がいなくたって曲は作れるんだぜ』と言っているかのようだ。

Translation by Naoko Nozawa

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