マックルモア薬物依存からの脱出、ヒップホップの大御所たちとのコラボ裏話

Photo by Amanda Smith

15年8月30日にロサンゼルスで開催されたMTVビデオ・ミュージック・アワード。シアトル出身のヒップホップ・デュオ、マックルモア&ライアン・ルイスは1時間後に迫った自分たちのパフォーマンスが大失敗に終わるだろうと確信していた。

彼らはこの日、野外ステージで新曲『Downtown』を披露する。トリッキーな振り付けがあり、ゲストとして大御所ラッパーを何人も迎えるパフォーマンスだ。その最後のリハーサルを終えたところだが、何ひとつうまくいかなかった。「プレイバック映像を見て、ライアンはヘコんでた」とマックルモアは言う。「『よう、こりゃひどいショーになるぜ』って感じだった」

だがそれは結局、杞憂だった。テレビ放映された舞台としてはマックルモア&ルイスにとって1年以上ぶりのパフォーマンスは、何の問題もなく終わった。それでも彼らにとって、いろんな意味で勝負の舞台だったことに変わりはない。

マックルモア&ライアン・ルイスが授賞式のステージで最後にパフォーマンスしたのは、14年のグラミー賞だ。デュオとしてのデビューアルバムでプラチナム・ヒットとなった『ザ・ハイスト』が、ケンドリック・ラマーなどを退けて「最優秀ラップ・アルバム」を受賞したときだ。

彼らの受賞に対し、すぐに反発の声が上がり、しかもそれは容赦ないものだった。多くの人がそこに人種問題を見たのだー歴史的に黒人の音楽とされてきたジャンルにおいてさえ、白人のアーティストは最初から優位に立っている。若いときから薬物とアルコール依存に苦しんでいたラッパーのマックルモアは08年に一度克服したが、『ザ・ハイスト』で急に有名になると、また手を出した。だがその暗いトンネルも14年の秋に脱したという。そして依存症の克服に広く使われている「12のステップ」が、グラミー後のバッシングを乗り越える助けになったと語る。

Translation by Nao Nakamura

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