DJダヒ:ドクター・ドレー、ケンドリック・ラマーを虜にするマスター・ビートメーカー


ー『ワースト・ビヘイヴィアー』やリリー・アレンの『シーザス』のように、あなたのビートはアーティストのよりタフな一面を引き出す力を持っていると思います。

アーティストの中に眠っている才能を引き出すことにやりがいを見出しているんだ。誰も聴いたことがないような音楽を作りたいといつも思っているし、実践しているつもりだよ。だからこそ自分のビートは支持されているんだと思う。誰も「ヒット曲を作って欲しい」なんて言ってきたりしないんだ。大事なのはアルバムの印象を決定づける曲を作ることであって、それは必ずしもヒットシングルである必要はないんだ。人々の記憶に残る曲を書きたいんだよ。今はマクドナルドのカウンターのように、次から次へとモノが消費される時代だ。人々にある味を覚えさせるのは簡単じゃないんだよ。

ー2014年以降、あなたのビートはさらにエッジーな方向へと向かっていきます。スクールボーイ・Qの『ヘル・オブ・ア・ナイト』、ミック・ジェンキンスの『デハイドレイテッド』、そしてティナーシェの『ベット』などがいい例ですが、意図的に自身のスタイルを変更したのでしょうか?

当時は友達のブラッド・ダイアモンドとよく一緒に曲を書いてたんだ。今はブラッドと名乗っているけどね。その共同作業からすごく刺激を受けて、自分のやりたいことを妥協せずに、レコードに強烈なエネルギーを宿らせる方法を見つけたんだ。ビートだけが音楽じゃない、大切なのはカラーなんだよ。当時俺が作っていたビートの多くはダークレッド、あるいはネオンカラーだった。ネオンカラーには人々を異次元空間へと誘うような魅力がある。ダークなものを作りたいと思ったら、そこにたどり着くためのルートを見極めてまっすぐに進んでいく、それが今の俺のアプローチなんだ。ケンドリックのアルバム用のセッションにも参加したよ。結果的にアルバムには収録されなかったけど、すごくドープな曲に仕上がったんだ。アルバムの制作中、彼も俺と同じことを言ってたよ。「この曲はこの色なんだ」ってね。

ーあなたとケンドリックが求めたのはどのような色だったのでしょうか?

ジャングルやサファリ、そういうものを連想させる色かな。神秘的な熱帯雨林のような深い緑、その中を駆け巡る猿たち、そして激しく燃える無数の葉、そういう感じだね。アルバムには収録されなかったけど、いつか世に出るといいなと思ってる。今でもよく聴いてるんだけど、眠らせておくにはもったいなさすぎるっていつも思うからね」

Translation by MASAAKI YOSHIDA

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