ローリングストーン誌が選ぶ「2015年のベスト・ミュージック・ビデオ」トップ10

3位 ドレイク『Hotline Bling』

監督:ディレクター・X

なんとも奇妙な曲に、奇妙なビデオだ。これまでのドレイクの優れたビデオ作品はすべてディレクター・Xが手がけており、この『Hotline Bling』では、立体的なセットでドレイクのダンスを強調させている。その動きは、ポーラ・アブドゥルとはまたひと味違うが、どんな批判も跳ね返すに十分な自信があると見える。


2位 ヴィンス・ステイプルズ『Norf Norf』

監督:スパイク・ジョーダン&ヴィンス・ステイプルズ

『Norf Norf』のビデオで、ヴィンス・ステイプルズの目は文字通りぐるぐると回っている。彼はパトカーの後部座席から、刑務所の登録口、取調室、独房へと忙しく移動するのだ。今年は、人種間の混乱を描くアート志向の強いビデオがいくつか製作された。ケンドリック・ラマーの『Alright』やラン・ザ・ジュエルズの『Close Your Eyes(And Count to Fuck)』、ステイプルズの『Señorita』などである。これらに比べると、やや表現が抑制されている『Norf Norf』こそが、最もパワフルな作品と言えるだろう。ステイプルズは蛮行、威嚇、嫌がらせ行為が、日々虐げられる人たちに対していかに常態化しているかを描いている。


1位 ミッシー・エリオット『WTF(Where They From)』

監督:デヴィッド・マイヤーズ

レジェンドの復活だ。初めて彼女の素晴らしさが認知されたのもミュージック・ビデオだった。およそ20年前、デビュー作『The Rain』で世界中に知らしめたように、『WTF(Where They From)』のビデオは、エリオットが今もパワフルな革新者であることを証明している。デヴィッド・マイヤーズ監督と組んだこの作品では、エリオットはヒット曲『Get Ur Freak On』や『Lose Control』のビデオような、ハイパーリアルな設定から離れた。代わりにストリートや地下鉄の駅といった、より身近な場所に登場するのだが、それでもまだ、彼女はクリエイティビティの無限の可能性を示すために未来からやってきた訪問者のように見える。

Translation by Sayaka Honma

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